改訂新版 世界大百科事典 「ゼカリヤ書」の意味・わかりやすい解説
ゼカリヤ書 (ゼカリヤしょ)
Book of Zechariah
旧約聖書の〈12小預言者〉に属する預言書。《ザカリヤ書》ともいう。この書は二つの部分に分けられる。第1部は1~8章であり,《ハガイ書》に続き,預言者ハガイの後継者である預言者ゼカリヤの活動についての記事と,彼が見た幻を書き記している。ゼカリヤも,総督ゼルバベルと大祭司ヨシュアを励まして,エルサレム第二神殿の建設を助けた。ゼルバベルを王として戴冠させる企図が失敗したことは,6章11節にゼルバベルの名が削られて,大祭司ヨシュアの名が記されていることから推察される。1章7節~6章15節の中心部にはゼカリヤの見た八つの幻が記されている。第2部(9~14章)の年代,統一性などについては,諸説があって確定しがたいが,9章は前332年のアレクサンドロス大王によるパレスティナ占領に関連する預言であるとの説が有力であり,ヘレニズム時代初期の黙示的預言を集めたものであろう。終末的な神の支配への言及が目だっている。
執筆者:木田 献一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報