ソウギョ(読み)そうぎょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソウギョ」の意味・わかりやすい解説

ソウギョ
そうぎょ / 草魚
[学] Ctenopharyngodon idella

硬骨魚綱コイコイ科に属する淡水魚。ツァーヒーあるいはソーヒーともよばれる。原産地の中国では、アオウオコクレンハクレンとともに四大家魚とよばれ、1000年以上前の唐代から養魚が盛んであった。また、ほとんど世界中の華僑(かきょう)居住地でも養魚が行われている。日本へも明治初年より何回も移入された。近年、前記4種の繁殖利根(とね)川で確認されたが、これは中国大陸以外での最初の繁殖記録である。

 一見、コイに似ているが、背びれがコイより小さく、ひげもない。体は黄褐色で、全長1メートルを超える。中国の大河では同2メートルの大魚も記録されている。平野部の河川湖沼に生息し、アシマコモなど川岸の陸生植物を好んで食べるので、名はその食性に由来する。利根川では、6~8月に中流久喜(くき)市付近へ遡上(そじょう)して、増水時に産卵する。卵は直径2ミリメートル程度であるが、産出後吸水して1時間後には5、6ミリメートルに膨れ、流下しながら急速に発育して約60時間後に孵化(ふか)する。したがって、小さな河川では天然繁殖を期待できない。最近では、ホルモン注射による排卵促進技術が確立され、池の中での産卵も可能になった。1日に自分の体重の1~1.5倍もの水草を摂取するので、大形水草の除去を目的に、日本各地の用水路や水源池に放流されている。中国では重要な食用魚。日本では、川の大物釣りの好対象でもある。

[水野信彦]

 生息地の在来生物に影響を与える可能性があることなどから、環境省の「要注意外来生物」にリストアップされている。

[編集部]


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改訂新版 世界大百科事典 「ソウギョ」の意味・わかりやすい解説

ソウギョ (草魚)
grass carp
Ctenopharyngodon idellus

コイ目コイ科の淡水魚。原産地はアジア大陸の東部一帯で,流れの緩やかな大河川やそれに連なる湖沼にすむ。形はコイに似るが,背びれの付け根が短いこと,口ひげがないことおよび背面から見た頭部の前端がボラのように丸みを帯びていることなどで区別される。ヨシやマコモなどの水草を好んで食べる。草魚の名もこの習性にちなんでいる。咽頭歯(のどにある歯)ががんじょうで櫛(くし)形をしていて,この歯を用いて水草をかみ切るしくみになっている。属名のCtenopharyngodonは櫛形をしたのど(咽頭)の歯の意味である。大型に達する魚で全長1mを超えるものもまれではない。日本へは明治時代からたびたび輸入され,各地の河川や湖沼に放流された。第2次世界大戦中に大量に移殖された稚魚の一部が,利根川水系で繁殖を繰り返して現在に至っている。アジア大陸や台湾などでは重要な食用魚の一つとなっている。
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百科事典マイペディア 「ソウギョ」の意味・わかりやすい解説

ソウギョ(草魚)【ソウギョ】

コイ科の魚。全長1mを超えるものもまれでない。形はコイに似るがより円筒形,口ひげがなく,背びれのつけ根が短い。背面は灰褐色,腹面は銀白色。アジア大陸東部の河川や湖沼に原産,日本,台湾,タイ,マレーなどに移殖され,利根川水系や台湾では繁殖もする。雑食性で,特にアシ,マコモなどの葉や茎を好む。中国,台湾では重要な食用魚である。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソウギョ」の意味・わかりやすい解説

ソウギョ
Ctenopharyngodon idella

コイ目コイ科の淡水魚。全長 1.5m。コイに似るが,口ひげがなく,背鰭の基底が短い。アジア大陸東部原産。河川,湖沼にすむ。草食性で,植物の茎,葉を好む。日本には食用として移殖された。

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栄養・生化学辞典 「ソウギョ」の解説

ソウギョ

 コイ科の淡水魚.

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