2005年度(平成17)から2014年度まで環境省が指定していた、生態系へ悪影響を及ぼすおそれがある生物。日本にいる外来生物のうち、輸入・販売・飼育・栽培などについて外来生物法に基づく規制の網がかかっていないものの、外に捨てないなど取扱いに注意が必要であるとして、2005年の外来生物法施行にあわせて指定していた。アメリカザリガニ、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)、インドクジャク、セイタカアワダチソウ、ホテイアオイなど148種類の生物が要注意外来生物に該当していた。しかし、日本政府が2014年度末に、日本国内の在来種を含め、生態系や人間活動に被害を及ぼすおそれのある生物(侵略的外来種)を新たに「生態系被害防止外来種」として指定したため、要注意外来生物の指定制度は廃止された。
外来生物法は輸入・販売・飼育・栽培・運搬などを原則禁止する「特定外来生物」にアライグマ、ブルーギル、カミツキガメなど113種類(2015年3月時点)を指定していたが、これ以外にも生態系への影響が懸念される外来種がいる。こうした外来種は生態系への影響の科学データが不足しているうえ、すでに大量に飼育、栽培されている生物もいて、法規制するとかえって不法投棄などを招き、在来種との交雑などで生態系を乱しかねない。このため環境省は要注意外来生物としてリストを公表し、適正な管理や飼育などを呼びかけていた。しかし要注意外来生物には、本来本州以南に分布しながら北海道などに生息域を広げたニホンイタチなど「国内由来の外来種」が含まれておらず、指定基準や指定過程も不明確で、対策も明確ではないといった批判をよんだ。このため政府は2014年度末に生態系被害防止外来種429種類の指定に切り替え、要注意外来生物を生態系被害防止外来種に取り込むことで、発展的に解消した。
[編集部]
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