ソシオドラマ(読み)そしおどらま(その他表記)sociodrama

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソシオドラマ」の意味・わかりやすい解説

ソシオドラマ
そしおどらま
sociodrama

モレノによって創始され、その学派によって開発された演劇手法を用いる集団療法。彼の行動理論は自発性と文化的役割概念を重視し、両者の有機的相互作用過程から役割創造が発展し、集団生活は活性化するとされる。したがって集団生活に適応困難な患者にとって、自発性の訓練と役割創造の訓練は、ドラマの実践による方法が有効であるとされた。具体的な手法は、とくに舞台などの設備は必要とせず、脚本もあらかじめ決められる必要はない。医師や教師の監督者は、人間関係に関する主題についての大枠を示すだけで、患者や生徒の演技者に自発的、即興的に一定の役割を演じさせる。また適宜、相手と役割を交換する経験をさせたり、ドラマの展開について集団討議を行わせたりする。この過程で患者はしだいにさまざまな役割演技(ロール・プレイング)をし、創造する能力を身につけるようになる。個人を対象とするサイコドラマとは区別される。

[大塩俊介]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソシオドラマ」の意味・わかりやすい解説

ソシオドラマ
sociodrama

アメリカの精神病理学者 J.L.モレノが集団の社会的不適応や人間関係を改善するために考案した即興の劇。 (1) 舞台,(2) 治療者兼演出者,(3) 助演者,(4) 演技者兼患者,(5) 観客 (患者) ,(6) 役割から構成される。場面と役割だけ与えられた即興劇進行なかで,各人の心理的葛藤や,社会的,文化的問題を明らかにし,発言,行為,観客としてのカタルシスの作用によって,集団の自発性を回復,増進させようというもの。この方法は,言語動作を含む総合的,集団的,全体的な診断法であり,治療方法といえる。 (→心理劇 )  

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世界大百科事典(旧版)内のソシオドラマの言及

【心理劇】より

…教育関係では早くから紹介され,役割訓練としての〈ロールプレーイングrole playing〉が普及している。ほかに,社会的テーマを扱う〈ソシオドラマsociodrama〉,パントマイムによる〈サイコマイムpsychomime〉などの技法がある。精神療法【増野 肇】。…

※「ソシオドラマ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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