日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソシオドラマ」の意味・わかりやすい解説
ソシオドラマ
そしおどらま
sociodrama
モレノによって創始され、その学派によって開発された演劇の手法を用いる集団療法。彼の行動理論は自発性と文化的役割の概念を重視し、両者の有機的相互作用過程から役割創造が発展し、集団生活は活性化するとされる。したがって集団生活に適応困難な患者にとって、自発性の訓練と役割創造の訓練は、ドラマの実践による方法が有効であるとされた。具体的な手法は、とくに舞台などの設備は必要とせず、脚本もあらかじめ決められる必要はない。医師や教師の監督者は、人間関係に関する主題についての大枠を示すだけで、患者や生徒の演技者に自発的、即興的に一定の役割を演じさせる。また適宜、相手と役割を交換する経験をさせたり、ドラマの展開について集団討議を行わせたりする。この過程で患者はしだいにさまざまな役割演技(ロール・プレイング)をし、創造する能力を身につけるようになる。個人を対象とするサイコドラマとは区別される。
[大塩俊介]