ソフロン

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソフロン」の意味・わかりやすい解説

ソフロン
そふろん
Sophron

古代(前5世紀ごろ)のギリシアの劇作家シチリアシラクーザ出身で、古くから伝わる滑稽(こっけい)な芝居ミモスを詩的な散文によって文学的に完成した人で、ミモスの創始者とよばれる。日常生活に題材をとった『漁夫対農夫』『朝食の女たち』などの題名が伝えられているが、作品は断片しか残っていない。プラトンが愛好したといわれ、テオクリトスヘロンダスなどに大きな影響を与えているので重要な作家である。

[引地正俊]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソフロン」の意味・わかりやすい解説

ソフロン
Sōphrōn

[生]前470頃.シラクサ
[没]前400頃
ギリシアの劇作家。日常生活の出来事テーマにして,社会を風刺的に描いた散文の対話劇であるミモスの創始者。作品は男物女物に分れていたらしい。プラトンに愛読され,ヘロンダステオクリトスに影響を与えた。断片のみ現存する。

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世界大百科事典(旧版)内のソフロンの言及

【ヘロンダス】より

…生没年不詳。彼の〈ミモス〉は,おもに都市下層民の日常生活の滑稽な断面を風刺詩の韻律に乗せて朗唱用の科白劇に仕立てたもので,ソフロンSōphrōnの散文による〈ミモス〉とヒッポナクスHippōnaxの〈イアンボス〉詩の双方の影響が認められるところから,特に〈ミミアンボスmimiambos〉と称される。若干の作品の舞台がコス島と特定されるため,コス島に縁があったことが推定されているが,生涯についてはまったく不明である。…

※「ソフロン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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