日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイワンリス」の意味・わかりやすい解説
タイワンリス
たいわんりす / 台湾栗鼠
gray-bellied free squirrel
[学] Callosciurus caniceps thaiwanensis
哺乳(ほにゅう)綱齧歯(げっし)目リス科の動物。ハイガシラリスの亜種で台湾、ミャンマー(ビルマ)、タイ、マレー半島に分布する。体長18~24センチメートル、尾長17~21センチメートル。ニホンリス(ホンドリス)に比べ、四肢が短く、耳介が短く丸い。体色は背側が灰色または淡緑褐色で、ときに赤みを帯び、腹側は灰褐色をしている。森林、二次林、耕作地、公園などに生息し、低木の枝上に小枝と葉で巣をつくってすむ。おもに樹上で行動するが、木登りはニホンリスほど巧みではなく、しばしば地上に降りて採餌(さいじ)する。早朝と夕刻に活動し、果実、種子、芽、昆虫などを食べる。1産1~5子。日本では、伊豆大島で動物園から逃亡した飼育個体が野生化して増え、ツバキの実などを食害するので問題になっている。そのほか、神奈川県の江の島、東京都の駒沢(こまざわ)公園などいくつかの野生地が知られる。
[今泉吉晴]