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だいち2号 だいちにごう

知恵蔵の解説

だいち2号

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発した陸域観測技術衛星2号(ALOS-2)。2014年5月に打ち上げられ、8月に定常運用を開始する。観測精度を高めた新型レーダーを搭載した中型衛星で、天候や昼夜を問わず地上の様子が観測可能であると共に詳細な地殻変動も計測できる。06年から5年余にわたって運用され、東日本大震災の被災状況の把握や復旧活動に活躍して寿命を終えた「だいち」の後継機である。
だいち2号は14年5月24日に種子島宇宙センターからH-IIAロケット24号機で打ち上げられた。重量は先発の大型衛星「だいち」の半分、費用も開発や打ち上げなどを含めて約374億円と大きく削減された。赤道上での高度は628キロメートルで、太陽同期準回帰軌道(14日回帰)を周回する。搭載されたLバンド合成開口レーダーは、波長が長く雲・雨・枝葉などを通過して、地表面や物体を観測できる。これは「だいち」搭載のものより大幅に改良されており、1回の観測幅は最大490キロメートルに向上した。選択できる観測可能なエリアは「だいち」では右側のみ870キロメートル範囲だったものが、だいち2号では左右観測機能を有し、合計2320キロメートルの範囲の中から観測エリアを迅速に選択できる。新たに採用したスポットライトモードでは観測幅は狭まるが、分解能が飛躍的に向上し、長さ1メートル幅3メートルの物体まで確認が可能だ。平常時は火山の監視、森林や氷河などを観測し、暮らしの安全を確保する。災害発生時には、津波の浸水域や道路の崩壊などを早期に把握し、救援や復旧の迅速化に役立てる。技術実証ミッションとして小型赤外カメラ(CIRC)や船舶自動識別信号受信器(SPAISE2)も搭載している。地球規模の環境問題の解決、資源探査や水稲作付面積の把握など、社会・経済への貢献をはかるという。打ち上げ後、定常モードに移行してから初期機能の検証や校正を経て、打ち上げ6カ月後には校正済みデータの提供開始を予定している。

(金谷俊秀  ライター / 2014年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

知恵蔵miniの解説

だいち2号

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用する地球観測衛星「陸域観測技術衛星2号」(ALOS-2)の愛称。自然災害や自然破壊による地殻変動をレーダーで詳細に観測し、災害状況の把握や環境問題の解決、資源の探査など幅広い分野に役立てることを目的としている。2006年~11年に運用された「だいち」の後継機として開発され、14年5月、H2Aロケット24号機による打ち上げに成功した。運用期間は7年を目標としている。

(2014-5-27)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

だいち2号
だいちにごう

宇宙航空研究開発機構(JAXA(ジャクサ))が2014年(平成26)5月にH-Aロケットにより打ち上げた陸域観測技術衛星2号。ALOS(エイロス)-2(Advanced Land Observing Satellite-2)ともよばれる。「だいち」(2006年打上げ)に搭載された合成開口レーダーPALSAR(パルサー)(フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダー)の発展改良型(PALSAR-2)を搭載し、送られてくるデータは、災害時の被災地の状況把握、国土情報の継続的な蓄積・更新、農作地の面積把握の効率化、CO2吸収源となる森林の観測を通じた地球温暖化対策などに活用される。衛星は高度約630キロメートルの太陽同期準回帰軌道を軌道傾斜角98度で、約98分で地球を周回する。衛星の大きさは軌道上で10.0メートル×16.5メートル×3.7メートルで、打上げ時の質量は約2000キログラムである。PALSAR-2は次の三つのモードで観測する。
(1)スポットライトモード:分解能1メートル(進行方向)×3メートル、観測範囲は25キロメートル四方で、もっとも解像度の高いモード。
(2)高分解能モード:分解能3メートル(観測幅50キロメートル)、分解能6メートル(観測幅50キロメートル)、分解能10メートル(観測幅70キロメートル)の選択ができる。
(3)広域観測モード:分解能が100メートルで観測幅が350キロメートル、または分解能が60メートルで観測幅が490キロメートルの広域を観測するモード。
 「だいち2号」は、基本観測シナリオを設定して、世界規模での計画観測を実施している。運用開始から2年経過した時点で、3メートル分解能で世界の約55%、6メートル分解能で約50%、10メートル分解能では全球のほぼ99%を撮像している。
 「だいち2号」は日本周辺を12時間以内に観測することができることから、災害時の緊急観測対応が可能であり、2015年8月には桜島噴火の緊急観測を実施している。また、二つの時期の画像の干渉処理により地形変化を解析できるため、2014年10月と2015年5月との比較では箱根(はこね)大涌谷(おおわくだに)の火山噴火で6センチメートル程度の隆起を観測した。「だいち2号」は比較的波長の長いLバンド(波長約24センチメートル)を使用するため、地表の植生の影響を受けずに地形変化を解析できる。また、船舶自動識別装置(AIS:Automatic Identification System)を搭載しており、SARの船舶撮像画像とあわせて、外洋における船舶識別に活用される。[森山 隆]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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