ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダルウィーシュ」の意味・わかりやすい解説
ダルウィーシュ
Darwish, Mahmud
[没]2008.8.9. アメリカ合衆国,テキサス,ヒューストン
パレスチナの詩人。20冊をこえる詩集や散文集を通じて,パレスチナ人の苦闘を表現した。1948年のイスラエル建国後,一家でレバノンに逃れた。1年後故郷に戻ったが,一家は「不法滞在の外国人」として扱われた。1970年モスクワに留学。その後カイロ,ベイルート,ロンドン,パリ,チュニスを転々としたが 1996年に帰国し,ヨルダン川西岸地区のラマラに居を構えた。亡命の経験が創作の源となり,たびたび祖国パレスチナを母親や非情な最愛の人にたとえて描いた。2002年に発表した長編詩 "Halat hisar"では,イスラエルによるたび重なるラマラの占領とパレスチナ人の孤立感を表現しつつも,双方の対話を通じて平和共存を実現できると説いた。パレスチナ解放機構 PLOの幹部としても活動し,1988年にはパレスチナ民族評議会の独立宣言を起草したが,1993年イスラエルとの和平協定(オスロ合意)に反対して PLOから離脱した。(→パレスチナ暫定自治協定)
ダルウィーシュ
Darwīsh
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