ダンバー(読み)だんばー(英語表記)William Dunbar

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ダンバー」の意味・わかりやすい解説

ダンバー
Dunbar

イギリススコットランド南東部,イーストロージアン北東部の町。北海の入り海フォース湾の湾口部南岸にある。856年頃建設された城塞に守られて発展した町で,今日では観光業を中心に漁業,農業,ビールやウイスキーの製造などを行なう。小さな町であるが歴史的に重要で,14世紀にはイングランド軍により城塞が攻囲され,16世紀にはスコットランド女王メアリー・スチュアートが危機に際して 2度にわたりここに身を隠した。城塞はメアリーを退けて王位についたジェームズ1世の摂政マレー伯によって 1568年に破壊された。南東郊には 1650年9月3日にオリバークロムウェル指揮下のイングランド軍とデービッド・レズリー指揮下のスコットランド軍の間で戦われたダンバーの戦いの古戦場がある。人口 6354(2001)。

ダンバー
Dunbar, Paul Laurence

[生]1872.6.27. オハイオ,デートン
[没]1906.2.8. オハイオ,デートン
アメリカ黒人詩人,小説家。逃亡奴隷を両親として生れ,エレベータボーイなどをしながら詩作に専心,処女詩集オークと蔦』 Oak and Ivy (1893) ,第2詩集『長調短調』 Majors and Minors (95) を自費出版。その2作を『下層生活抒情詩』 Lyrics of Lowly Life (96) としてまとめ,W. D.ハウエルズの序文によって有名になった。その後は講演,イギリス旅行,国会図書館員 (97~98) の仕事などで過労がかさみ,小説に転じて矢つぎばやに作品を発表するうち結核に倒れ,33歳で早世した。主著,詩集『愛と笑いの抒情詩』 Lyrics of Love and Laughter (1903) ,『日光と影の抒情詩』 Lyrics of Sunshine and Shadow (05) ,小説『狂信者』 The Fanatics (01) ,『神々の戯れ』 The Sport of the Gods (02) など。

ダンバー
Dunbar, William

[生]1460頃
[没]1520頃
スコットランドのチョーサー派詩人。若くしてフランシスコ修道会に入り,のちこの道を捨ててジェームズ4世に仕え,外交任務に携わった。 1501年ジェームズ4世とイギリス国王ヘンリー7世の娘マーガレットとの結婚を取り決める使節同行。この結婚をたたえる政治的寓意詩『あざみとばら』 The Thrissil and the Rois (1503) のほか,愛の寓意詩『黄金の盾』 The Goldyn Targe,宗教的夢幻詩『七大罪の踊り』 The Dance of the Sevin Deidly Synnis,女性風刺の対話詩『二人の既婚女と未亡人』 The Twa Maryit Women and the Wedo (1508頃) などを書き,ラブレー風のユーモア,風刺,想像力を示している。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダンバー」の意味・わかりやすい解説

ダンバー(William Dunbar)
だんばー
William Dunbar
(1465?―1530?)

スコットランドの詩人、外交官で、一時期フランシスコ派の修道士。ジェームズ4世王の外交特使を務め、1500年に年金を与えられる。作品は諧謔(かいぎゃく)と風刺に富み、「スコットランドのチョーサー派詩人」の1人に数えられる。作品に、ジェームズ4世の結婚を扱った政治寓意(ぐうい)詩『アザミとバラ』、女性風刺の『二人の夫人と寡婦』、悪魔的な『七つの大罪の踊り』など。

[高田康成]


ダンバー(Paul Laurence Dunbar)
だんばー
Paul Laurence Dunbar
(1872―1906)

アメリカの黒人詩人。黒人奴隷を母としてオハイオ州に生まれる。大農園時代の黒人の生活を、彼らの方言を使い、哀感とユーモアを込めて誠実に歌い上げた。『卑しき生活の叙情詩』(1896)、『愛と笑いの叙情詩』(1903)が代表作。しかし白人支配下に暮らす黒人の問題意識はいまだ希薄である。

[岩瀬悉有]

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