(読み)ソバ

デジタル大辞泉 「側」の意味・読み・例文・類語

そば【側/傍】

空間の隔たりがあまりない所。近く。「駅の―の交番
その動詞の表す動作・状態と時間の隔たりがないことを表す語。すぐそのあと。するとすぐ。「作る―から食べる」
[用法]そば・わき――「そば」は、その物から全方向の距離を示すが、「わき」はその物から左右の距離を示す。したがって、「わき」が「そば」に含まれてしまう場合には、たとえば「歩いている人のそば(わき)を自転車が通り過ぎた」のように相通じて用いられる。◇「先生の家のそばまで来て迷ってしまった」の「そば」は、その物からやや離れた周辺までを意味する。「わき」は、「ポストは売店のわきにある」のように、すぐ横にあることを意味する。「耳のわきのほくろ」は、耳の横にあることをいう。◇「近く」は、「そば」とほとんど違いはない。「近く(そば)まで来たので寄ってみた」では、「近く」の方が「そば」よりもやや範囲が広いといえよう。◇類似の語「かたわら」は文章語的である。
[類語](1手近い程近い近い間近い間近じきすぐ至近近く目前鼻先手が届く指呼しこ咫尺しせき目睫もくしょうかん目と鼻の先かたわわき片方かたえ手もと手近身辺付近近辺近傍近所最寄り足元座右左右手回り身の回りまのあたり目睫もくしょう面前目の前眼前現前目先鼻面はなづら鼻っつら前面正面真ん前手前先方直前(あるものに近接した所)きわほとりはた片脇横手横合い近間界隈かいわい近回りそのへん四隣しりん隣組向こう三軒両隣りょうどなり

そく【側】[漢字項目]

[音]ソク(漢) [訓]がわ そば そばめる
学習漢字]4年
〈ソク〉
そば。かたわら。「側近側室君側
片方に寄った所。横の面。「側壁側面舷側げんそく左側体側
片方に寄せる。傾ける。そばめる。「側目反側
かたよって。ほのかに。「側聞
がわかわ)〉「裏側縁側帯側片側金側左側

がわ〔がは〕【側】

かわ(側)1」に同じ。「向こうに渡る」「北の窓」
かわ(側)2」に同じ。「演じると見る」「消費者に立った意見
かわ(側)3」に同じ。「金の時計
周囲の人。かたわら。はた。「当人よりもがうるさい」

かわ〔かは〕【側】

物の一つの方向・方面一面。「家の西の」「左っの目が痛い」
相対するものの一方。「労働者に立つ」
物のまわりを取り囲んだり覆ったりしているもの。「時計の
列。並び。「右寄りの二女子が座る」→がわ(側)

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精選版 日本国語大辞典 「側」の意味・読み・例文・類語

かわかは【側】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「がわ」とも )
  2. 物事の一つの面、方向、立場。また、そのような面、方向、立場などにあるものや人。
    1. [初出の実例]「外 カハ 方異」(出典:温故知新書(1484))
    2. 「知れては身分に係はるといった側(カハ)が、ちょいちょい懐手で出入する」(出典:湯島詣(1899)〈泉鏡花〉一四)
  3. まるく輪をなした、もののまわり。また、輪をなして、囲んでいるもの。
    1. [初出の実例]「外輪 カワ 器」(出典:温故知新書(1484))
    2. 「マエアシヲ イノ cauani(カワニ) ナゲカケ」(出典:天草本伊曾保(1593)狐と野牛の事)
  4. かわ(皮)
    1. [初出の実例]「銀座では三越ががわだけのがらんどうとなり」(出典:記念碑(1955)〈堀田善衛〉)
  5. 俳諧、狂歌などの、流派仲間、社中。
    1. [初出の実例]「『アノ二物(にぶつ)とかいふ坊さまは狂歌師かの』『しかも名人サ。私などの側(カハ)さネ』」(出典:人情本・婦女今川(1826‐28)八)
  6. そば。かたわら。
    1. [初出の実例]「さう側(ガハ)で見るやうな容易(たやす)い仕事ではない」(出典:紐育(1914)〈原田棟一郎〉婦人と米国政界)
  7. 賭博(とばく)で、胴親と対立して勝負をする者。
    1. [初出の実例]「白髪交りがまく骨牌(かるた)、かはは川越播摩守、六々八の引張り牌(ふだ)」(出典:浄瑠璃大塔宮曦鎧(1723)一)

そば【側・傍】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 近くの所。かたわら。
    1. [初出の実例]「たてる几丁のそばより、かたはらがほのすきて見えたまへるやうだい」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上上)
    2. 「こなたに木丁たてたれど、そばの方より見入るれば」(出典:落窪物語(10C後)一)
  3. 側面。また、端(はし)
    1. [初出の実例]「御簾のそばをいささかひきあげて見るに」(出典:枕草子(10C終)三六)
  4. そばき(側木)」の略。
  5. ( 形動 ) 本筋からそれたところ。また、正面からはずれているさま。わき。脇道。
    1. [初出の実例]「祝言の外には、井筒・道盛など直ぐ成る能也。実盛・山姥も、そばへ行きたる所有り」(出典:申楽談儀(1430)能書く様)
  6. 「…するそばから(そばより)」の形で、その動作の直後の意を表わす。その直後。その瞬間。
    1. [初出の実例]「私が腕が宜(い)いので患者が参る側(ソバ)から癒(なほ)るので」(出典:落語・新治療(1898)〈初代三遊亭小円遊〉)

そく【側】

  1. 〘 名詞 〙 永字八法の一つ。第一画の点。
    1. [初出の実例]「側〈略〉点之祖永字第一筆。不平」(出典:和漢三才図会(1712)一五)

がわがは【側】

  1. 〘 名詞 〙かわ(側)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「側」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] ソク
[字訓] かたわら・ほのか

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は則(そく)。則は鼎側に銘刻を施すことをいう。〔説文〕八上に「旁(かたは)らなり」とあり、人に施して人の旁ら、また傾仄の状態をいう。

[訓義]
1. かたわら、そば、わき、へり、まわり。
2. かたがわ、かたむく、そばだつ、そばめる。
3. 仄と通じ、ほのか、かすか。
4. いやしい、ひくい、ひとり。

[古辞書の訓]
〔新字鏡〕側 太知毛止保留(たちもとほる)〔名義抄〕側 ホトリ・カタハラ・ソバタツ・ソバム・ホノカニ・カクル・カタブク・ソル・カタマカル・ソノカミ・ツタフ・スミ・ミツ/反側 トコカヘリ

[語系]
側・仄・昃・tzhikは同声。仄・昃は人影の傾くこと、(そく)は傾側して舞う形。みな一系の語。

[熟語]
側艶・側屋・側臥・側寒・側躬・側近・側傾・側径・側肩・側行・側視・側耳・側室・側酌・側身・側臣・側声・側席・側足・側息・側聴・側跌・側頭・側匿・側微・側聞・側僻・側弁・側帽・側面・側目・側門・側笠・側麗・側陋
[下接語]
危側・欹側・君側・傾側・険側・舷側・坐側・山側・船側・冢側・道側・反側・卑側・陛側・僻側・片側・偏側・旁側・帽側・路側

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