日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョロギ」の意味・わかりやすい解説
チョロギ
ちょろぎ
[学] Stachys sieboldii Miq.
シソ科(APG分類:シソ科)の多年草。中国原産で、日本へは17世紀ころに渡来した。地下茎を食用とするため栽培されるが、栽培量は少ない。欧米でも多少栽培される。茎は高さ60センチメートル、葉は互生し、長卵形でしわがある。初秋、茎頂に淡紫色の唇形花を穂状に密につける。秋が深まり、地上部が枯れてくるにつれて地下茎の先が肥大し、長さ3センチメートル、太さ1.5センチメートルほどで、両端はとがり、中央部が数段にくびれた白いイモムシ状となる。初冬に収穫する。煮るとユリ根に似た味がし、煮食したり、漬物にする。正月料理では、梅酢に浸(つ)けて赤く染めたものを、黒豆を煮たものに添える。欧風料理ではゆでてバター炒(いた)めなどにする。
[星川清親 2021年9月17日]
文化史
中国原産の野菜で、日本には江戸時代初期に伝わったとみられ、『多識(たしき)編』(1612)に載る。『菜譜(さいふ)』(1704)には、和(あ)え物、吸い物に入れ、みそにつけてよしとあり、蜜(みつ)につけ菓子としても食べていたようである。チョロギは千代老木、長老貴、長老芋をあて、縁起植物として正月のおせち料理に使う。さらに、朝露葱とも綴(つづ)られるが、語源は朝鮮語でミミズを意味するチーロンイに基づくという。チョロギの根茎は節が多くて長く、ちょっとミミズを思わせる。中国名の草石蚕(そうせきさん)もそれをカイコに見立てた名。別名の甘露子(かんろし)は味による。
[湯浅浩史 2021年9月17日]