クマツヅラ科の高木で,樹高30~45m,直径80~150cmになる。樹皮は若木では灰色,老木では褐色~暗褐色で,縦に細かく筋状に割れる。葉は対生し,長さ25~50cm,幅23~35cmの大きい楕円形。花は小さな白花で,大型の円錐花序に多数がむらがり咲く。果実は径1~1.5cmの先のとがった球形で,中に1~4個の種子がある。タイ北部からミャンマーおよびインドの乾季と雨季が区別される季節風地帯に分布し,1~3月の乾季には落葉する。この地域ではしばしば純林状に生育している。木材がすぐれているので,最近では熱帯~亜熱帯各地で造林されだしたが,ジャワ島では19世紀以来オランダ東インド会社によってチーク林が育成され,今日も良好な森林がある。ジャワ島にも本来チークが自生していたとする説と,インドなどから導入されたとする説とがある。生長はあまり早くなく,造林木でも直径70~80cmになるのに80~100年を要する。
乾季には生長が止まるので,木材には年輪が認められ,環孔材的傾向が強い。心材ははじめ暗黄褐色で,しだいに褐色~濃暗褐色に変わり,金色の光沢がある。気乾比重0.57~0.76。指でこするとやや油じみた感触がある。耐久性がきわめて高く,菌類,昆虫,海産フナムシなどにおかされにくい。また乾燥後の寸法安定性にすぐれ,狂わず,比重のわりに加工性がよく,強度がある。これらのすぐれた特性に加え,気品のある重厚な色調をもつので,世界の最高級材の一つとして定評がある。船舶用材や客車の内装用材の第1等材として名高く,そのほか建築,家具,彫刻,細工物など広い用途があるが,高価なので,今日ではごく薄くスライスした突板(つきいた)にして,表面の装飾用に用いることが多い。生育環境により材質にかなりの幅があり,ふつうタイ,ミャンマーの天然生チークが最も優良である。
執筆者:緒方 健
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クマツヅラ科(APG分類:シソ科)の落葉高木。高さ25~30メートル、径約3メートルに達する。葉は短い柄があって互生し、倒卵形、全縁、長さ30~60センチメートル。6~8月、枝の先に大きな円錐(えんすい)花序をつくる。花は白色管状の小花で径8ミリメートル、先端は5裂する。果実はやや球形の核果で径2~2.5センチメートル。ホオズキに似た宿存萼(がく)に包まれ、下垂する。果内は4室に分かれ、各室に長楕円(ちょうだえん)形の種子がある。インドからマレー半島にかけての地域原産である。材は切り出した直後は黄色であるが、年月の経過とともに暗褐色となる。材質は非常に堅強で、一度乾燥した材は伸縮したり、反ったり、割れたりすることがない。耐久力に富むうえに加工しやすく、東南アジア産の有用材として、ラワンとともにもっとも利用が多い。フナクイムシやシロアリの害を受けにくく、船舶用材として最良のものとされる。ほかに、家具、建築、土木、彫刻用材とされる。
原産国はインド、ラオス、ミャンマー(ビルマ)、タイであるが天然のチーク林は減少している。ミャンマー以外の国では天然林の伐採や丸太の輸出を禁止している。アフリカ、中南米、アジアで人工造林が行われており、世界全体のチーク材の40%近くはインドで生産される。成長は遅く、100年くらいで成樹となるが、5~7年ごとに間伐をし、80~100年で皆伐する。山地からの搬出はゾウを使って行い、川岸に集め、雨期に筏(いかだ)を組んで集積地に集められ輸出される。
[星川清親 2021年9月17日]
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…したがってラワンという名は南洋材の代名詞のようになってしまっている。南洋材(唐木類を除く)が,微々たるものではあるが日本に輸入されるようになったのは1890年代で,その後,日清・日露両戦争が終わり,造船ブームがおき,船の甲板に用いるためにチークが輸入されるようになってからである。ちなみに1912年のその輸入量は8000m3弱であった。…
※「チーク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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