日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツチスドリ」の意味・わかりやすい解説
ツチスドリ
つちすどり / 土巣鳥
mudnest-builder
広義には鳥綱スズメ目ツチスドリ科に属する鳥の総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。この科Grallinidaeには4種があり、全長20~50センチメートル。泥を主材に椀(わん)形の大きな巣を大木の横枝上につくる。黒と白の小形の1種ヤマツチスドリGrallina bruijniがニューギニア島の山地の渓流に、ほかの3種はオーストラリアに分布し、疎林や農園の主として地上で昆虫などの小動物を食べる。
種のツチスドリG. cyanoleucaは黒と白に大きく染め分けられた羽色で、一年中つがいで生活するが、若鳥は大きな群れをつくる。オオツチスドリCorcorax melanorhamphusは全身黒色で翼に大きな白斑(はくはん)があり、ハイイロツチスドリStruthidea cinereaは主としてねずみ色で尾が黒く翼は褐色。この2種は2羽から十数羽の小群で縄張り(テリトリー)をもって繁殖し、群れの全員で一つの巣をつくり、抱卵し育雛(いくすう)するが、産卵する雌は多くの場合1羽だけである。群れのメンバーは主としてその子と思われる。
[浦本昌紀]