ティルピッツ(読み)てぃるぴっつ(英語表記)Alfred von Tirpitz

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティルピッツ」の意味・わかりやすい解説

ティルピッツ
てぃるぴっつ
Alfred von Tirpitz
(1849―1930)

ドイツの軍人、政治家。1865年海軍に入り、水雷艇の開発に努力、1892年海軍軍令部参謀長となり、対外膨張のため大艦隊建造を唱えた。1897年海軍長官に就任、翌1898年艦隊法を成立させて以来、大衆団体ドイツ艦隊協会の扇動を利用しつつ、艦隊の増強に努め、ドイツを世界第二の海軍国に育てた。しかし「建艦競争」はイギリスとの関係を悪化させ、第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)の原因の一つとなった。大戦中に全艦隊の早期出撃、ついで無制限潜水艦戦の実施を主張して、政府首脳と対立、1916年辞任した。1917年、右翼ドイツ祖国党設立に参加、戦後ドイツ国家人民党国会議員(1924~1928)となった。

[木谷 勤]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ティルピッツ」の意味・わかりやすい解説

ティルピッツ
Tirpitz, Alfred von

[生]1849.3.19. キュストリン
[没]1930.3.6. バイエルン,エーベンハウゼン
ドイツの軍人。ドイツ艦隊を建設し,「ドイツ海軍の父」といわれる。 1865年プロシア海軍に入り,92年海軍作戦部長,97年海相。ウィルヘルム2世の意を受けてドイツ海軍を拡張,98年「第1次艦隊法」,1900年「第2次艦隊法」を成立させ,ドイツを世界第2位の海軍国に育てた。第1次世界大戦では無制限潜水艦戦を主唱するなど,穏健派の宰相 T.ベートマン・ホルウェークと対立し,16年辞任。 17年 W.カップとともにドイツ祖国党を創立。 24~28年ドイツ国家人民党国会議員,25年の P.ヒンデンブルクの大統領就任に尽力。『回想録』 Erinnerungen (1919) がある。

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