テングスケバ(読み)てんぐすけば(英語表記)long-nosed planthoppers

日本大百科全書(ニッポニカ) 「テングスケバ」の意味・わかりやすい解説

テングスケバ
てんぐすけば / 天狗透羽
long-nosed planthoppers

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目テングスケバ科Dictyopharidaeの昆虫の総称、またはそのなかの一種。この科は、体長5~15ミリメートルで、頭部には前方に伸びる突起をもつことが多い。はねは透明であるが、大きな暗色紋をもつことがある。熱帯地方を中心に世界で約450種が知られ、日本産は約5種が知られている。

 テングスケバDictyophara patruelisは、体長10~13ミリメートル、体は淡緑色で、頭部は前方に強く突出する。胸背には4本の橙(だいだい)色の条(すじ)がある。はねは透明。イネ科植物に生息し、クワサトウキビ、イネに多く発生することがある。本州、四国、九州、琉球(りゅうきゅう)諸島、台湾朝鮮半島に分布する。近縁ナカノテングスケバD. nakanonisは東京都中野で発見されたもので、クヌギなどにすむといわれるが、数は少ないようである。ほかにアカメガシワに多いツマグロスケバOrthopagus lunuliferや、山地ヤナギやハンノキ類にみられるクロテングスケバSaigona ishidaiなどが知られる。

[林 正美]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「テングスケバ」の意味・わかりやすい解説

テングスケバ
Dictyopharidae; long-nosed planthopper

半翅目同翅亜目テングスケバ科に属する昆虫の総称。頭頂が著しく前方に突出し,翅が透明なので,「天狗透け羽」の名がある。ウンカに近いが,ウンカのもつような後肢脛節の可動式のはない。単眼は2個で,前翅の爪状部線は不明瞭。つかまえようとすると,勢いよく跳ね,飛んで逃げる。世界に広く分布し,日本では5種ほどが知られている。テングスケバ Dictyophara patruelisは,体長 10mm内外,淡緑色で,前胸背に薄い橙色の4条が走る。イネ科植物やクワなどにみられる。北海道を除く日本各地と朝鮮半島,台湾に分布する。 (→同翅類 , 半翅類 )

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