日本大百科全書(ニッポニカ) 「デュベルジェ」の意味・わかりやすい解説
デュベルジェ
でゅべるじぇ
Maurice Duverger
(1917―2014)
フランスの政治学者。パリ第一大学教授、政治学研究所長を務め、非共産党左派の立場から『ル・モンド』紙の編集者としても政治時事評論に健筆を振るった。最初の書物『フランスの諸憲法』Les Constitutions de la France(1943)はビシー政権によって発禁にされた。政治学者としての国際的名声を確立したのは1951年刊行の『政党論』Les Partis politiquesにおいてであり、本書は政党制および政党構造の社会学的研究としてすでに古典的地位を占める。その後の主要労作として『人民なき民主主義』La Démocratie sans le peuple(1967)、『ヤヌス』Janus : Les deux faces de l'Occident(1972)、『共和的君主制』La Monarchie républicaine(1974)、『市民の共和国』La République des citoyens(1982)などがある。1989~1994年、当時のイタリア共産党に推されて、ヨーロッパ議会のイタリア議員を務めた。
[田口富久治]
『横田地弘訳『政治学入門』(1982・みすず書房)』▽『平林正司他訳『市民の共和国』(1990・三嶺書房)』▽『時本義昭訳『フランス憲法史』(1995・みすず書房)』▽『田口富久治・田口英治訳『政治体制』(白水社文庫クセジュ)』▽『田口富久治・田口英治訳『現代の独裁――その社会学と弁証法』(社会思想社・現代教養文庫)』