日本大百科全書(ニッポニカ) 「デーニッツ」の意味・わかりやすい解説
デーニッツ
でーにっつ
Karl Doenitz
(1891―1980)
ドイツの軍人。1910年海軍に入り、第一次世界大戦に参戦。1936年新設の潜水艦隊司令官に就任した。彼の考案によるUボート(潜水艦)集団作戦および夜間浮上攻撃は、第二次世界大戦中、連合国側を悩ませた。1943年海軍総司令官に昇進。上司にも率直に意見を述べる性格が買われ、1945年4月30日、自殺直前のヒトラーによって後継の総統兼国防軍総司令官に指名された。5月1日就任後、米英軍とのみ降伏交渉を図ったが実現せず、8日、全軍に降伏を命令した。同23日、他の政府閣僚全員とともに逮捕され、ニュルンベルク国際軍事裁判に付され、1946年禁錮10年の判決を受けた。1956年刑期を終えた。
[藤村瞬一]
『K・デーニッツ著、山中静三訳『ドイツ海軍魂』(1981・原書房)』