トゥラン低地(読み)とぅらんていち(英語表記)Туранская Низменность/Turanskaya Nizmennost'

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥラン低地」の意味・わかりやすい解説

トゥラン低地
とぅらんていち
Туранская Низменность/Turanskaya Nizmennost'

中央アジアのトルクメニスタンウズベキスタンからカザフスタン南西部にかけて広がる低地。東は天山山脈・パミール高原、西はカスピ海、南はイラン国境のコペトダク山脈、北はカザフ丘陵に限られる。面積約250万平方キロメートル。低地のほぼ中央にアラル海があり、アムダリヤ、シルダリヤの二つの川が注いでいる。ムユンクム砂漠、キジルクム砂漠カラクム砂漠があり、大部分が砂と粘土の乾燥した低地。従来、ヒツジヤギウシラクダなどの牧畜のほか、山麓(さんろく)の泉や河川沿いのオアシス周辺で小規模の農業が行われてきた。その後ウズベキスタンを中心に運河網や農業機械を利用した農場ができ、綿の生産が多い。カスピ海西岸カザフスタンのマンギシュラク地域(マンギスタウ州)では石油、天然ガスを産出する。

[須長博明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トゥラン低地」の意味・わかりやすい解説

トゥラン低地
トゥランていち
Turanskaya nizmennost'

中央アジアにある低地。カザフスタン,ウズベキスタン,トルクメニスタンにまたがる。主として砂と粘土の砂漠から成る地域で,カラムク,クイズイルクム (キジルクム) 両砂漠があり,中央部にあるアラル海にアムダリア,シルダリア両川が注ぐ。南はイランとの国境をなすコペトダグ山脈,北はカザフ丘陵の南縁,東はテンシャン (天山) 山脈山麓,西はカスピ海東岸で区切られる。標高 300mをこえるところは少く,旧ソ連内の最も標高が低い地点カラギエ凹地 (-132m) はこの低地の西部,カスピ海沿岸にある。北のトゥルガイ凹地により西シベリア低地と連絡している。亜熱帯性の大陸気候で,農業は灌漑によってのみ行われる。

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