改訂新版 世界大百科事典 「トゲグモ」の意味・わかりやすい解説
トゲグモ
Gasteracantha kuhlii
コガネグモ科のクモ。体長は雌10mm,雄3mm。頭胸部も腹部もキチン化されていて,腹部に6本の硬いとげがある。このことから英語では,トゲグモの仲間をspiny-bellied spiderと呼んでいる。目の細かい美しい円網を張るが,支柱糸に白い糸の塊をつけるので目につきやすい。東南アジアに広く分布し,日本では北海道を除く各地の林間にすむが,九州,沖縄にはとくに多い。8月に産卵する。近縁のチブサトゲグモG.mammosaは日本では,九州,四国,沖縄にいるが,東南アジアでは個体数が多く,網と網とを互いに利用しあって,大集団で生息している。また東南アジアには,赤色の美しい長いとげをもつオオナガトゲトゲグモG.arcuataをはじめとげの形がヒシの実に似ているヒシノミガタトゲグモG.crucigeraなど珍奇なトゲグモの仲間が十数種いる。台湾の山岳地帯には黄色の腹部に赤いとげをもつ美しいザウタートゲグモG.sauteriが多数生息している。
執筆者:萱嶋 泉
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報