トリルッサ(読み)とりるっさ(英語表記)Trilussa

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トリルッサ」の意味・わかりやすい解説

トリルッサ
とりるっさ
Trilussa
(1871―1950)

イタリアの詩人。本名カルロ・アルベルト・サルストリCarlo Alberto Salustri。ローマの貧しい家庭に生まれ、ローマ方言で庶民の生活感情を即興的に歌った。平易な表現、鋭い風刺行間に漂う感傷、民俗描写などが、ソネット(十四行詩)を中心とした短詩に巧みに歌い込まれ、19世紀末の新聞・雑誌に矢つぎばやに掲載されて、爆発的な人気を集めた。古代ローマの寓意(ぐうい)詩の流れを引き、19世紀前半の大詩人ベッリの詩法を受け継いだ、方言文学の雄とも、20世紀の吟遊詩人ともいわれる。処女詩集『ローマの星空』(1889)以来、『寓話ロマネスク』(1900)、『音楽喫茶』(1901)、『狼(おおかみ)と仔(こ)羊』(1919)、最後の詩集『水と葡萄(ぶどう)酒』(1944)まで、膨大な作品群は没後『全詩集』(1951)にまとめられている。

河島英昭

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トリルッサ」の意味・わかりやすい解説

トリルッサ
Trilussa

[生]1871.10.26. ローマ
[没]1950.12.21. ローマ
イタリアの詩人。本名 Carlo Alberto Salustri。ローマの下町生活を素材にローマ方言で多数の詩,寓話,教訓譚などを書いた。また『メッサッジェーロ』『ドン・キホーテ』などの新聞雑誌に拠ってジャーナリストとして活躍。自著『百物語』 Cento favole (1937) の挿絵も描いた。ファシズム体制下では強烈な風刺のゆえに,発表を禁じられた。主著『ローマ方言による 40のソネット』 Quaranta sonetti romaneschi (1895) ,『ローマ方言による寓話』 Favole romanesche (1900) ,『狼と仔羊たち』 Lupi e agnelli (22) ,『ゼウスと獣』 Giove e bestie (32) 。

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