ベッリ(その他表記)Giuseppe Gioachino Belli

改訂新版 世界大百科事典 「ベッリ」の意味・わかりやすい解説

ベッリ
Giuseppe Gioachino Belli
生没年:1791-1863

イタリア詩人両親を早く失い,貧困と労働の青年期を送る。やがて,裕福な貴族女性との結婚を契機教皇庁に職を得ると,ソネット形式による盛んな詩作を行う。貴族や高位聖職者に取り巻かれた生活を送りながら,その腐敗した社会になじむことができず,一方において,民衆をいわばみずからの思想表現の道具としてしか描こうとしなかった,当時のロマン主義文学の姿勢にもあきたらないものを感じていた彼は,自分もまた民衆の一人と位置づけて,その社会の内側から民衆の風習道徳観,感情などをあるがままの姿で描きだそうと努めた。このような姿勢は当然のことながら表現手段としての言語の問題にも貫かれ,言語の面でも民衆をより直接的にとらえることを目ざした彼は,特権的で,たちまち形骸化していく,いわゆる文学的言語を排して,優に2200編を超える作品をすべてローマ方言で書いた。その作品は死後になって集められ,《ソネット集》と題して出版された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッリ」の意味・わかりやすい解説

ベッリ(Pietro Verri)
べっり
Pietro Verri
(1728―1797)

イタリアの経済学者、政治家、啓蒙(けいもう)主義哲学者。ウィーンでイギリス人経済学者ロイドHenry Lloyd(1720ころ―1783)と知り合い、経済学の研究に向かう。ミラノで、弟アレッサンドロAlessandro Verri(1741―1816)、友人ベッカリーアなどと、啓蒙思想の影響のもと、貴族の腐敗した習慣や民衆の偏見といった「古い世界」と戦い、倫理、経済などを含めた刷新の遂行を目ざして、「こぶしの会」を創立、その機関誌として『イル・カフェ』Il Caffèを発刊した。

[大谷啓治]


ベッリ(Giuseppe Gioachino Belli)
べっり
Giuseppe Gioachino Belli
(1791―1863)

イタリアの詩人。貧しい生活を支えるために、さまざまな職業につくが、裕福な貴族の未亡人と結婚して、ようやく生活の安定を得ると、教皇庁に勤めるかたわら、優に2200編を超えるソネットをローマ方言で綴(つづ)った。その詩は、単にローマの民衆のことばで書かれているばかりでなく、自らも民衆と同じ平面にたった低い視点から、グレゴリウス16世治下のローマの高位聖職者や貴族の腐敗、民衆の悲惨な暮らしぶりなどを、ときに喜劇的に、また、ときに悲劇的に描き出している。その作品『ローマ方言によるソネット集』は1830~47年に書かれたが、生前は刊行されなかった。

[川名公平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッリ」の意味・わかりやすい解説

ベッリ
Verri, Pietro

[生]1728.12.12. ミラノ
[没]1797.6.28. ミラノ
イタリアの経済学者,文学者。 18世紀イタリアにおける最も革新的な文化雑誌『カッフェ』 Il Caffeを創刊,編集主幹をつとめた。自由主義経済の擁護者であり,ベッカリーアの名著『犯罪と刑罰』は彼の示唆で書かれた。主著『ミラノ史』 Storia di Milano (2巻,1783~99) 。

ベッリ
Belli, Giuseppe Gioacchino

[生]1791.9.10. ローマ
[没]1863.12.21. ローマ
イタリアの詩人。ローマの庶民生活を主題に,ローマ方言による風刺詩を書いた。主としてソネット形式により,1830~39年に,2000編以上もの詩を残した。主要作品は『ベッリのロマネスク・ソネット集』I sonetti romaneschi di G. G. Belli (L.モランディ編,6巻,1886~89) に収録されている。

ベッリ
Verri, Alessandro

[生]1741.11.9. ミラノ
[没]1816.9.23. ローマ
イタリアの小説家,劇作家。兄ピエトロとともに『カッフェ』 Il Caffeを創刊し,編集者の一人として,百科全書的活動を行なった。主著『ローマの夜』 Notti romane (1792) ,『ミラノの陰謀』 Congiura di Milano (99) 。

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