ドイツ・オーストリア同盟(読み)どいつおーすとりあどうめい

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ドイツ・オーストリア同盟
どいつおーすとりあどうめい

1879年に締結されたドイツ帝国オーストリア・ハンガリー帝国間の軍事同盟ベルリン会議とオーストリアのボスニア・ヘルツェゴビナ占領(1878)を経て、バルカンをめぐってロシアと対立するオーストリアのドイツへの接近指向が、ヨーロッパの新しい勢力均衡の保持を目ざすビスマルク外交と結び付いてこの同盟が成立した。ここで、ロシアからの攻撃に際しての相互軍事援助、その他の国(フランス)からの攻撃に際しての好意的中立が約された。秘密同盟であったが、ロシアと再保障条約を結んだビスマルクはオーストリアへの配慮もあり、1888年にこれを公表した。第一次世界大戦中まで存続し、当時の国際関係や民族問題に影響を与えた。

[長場真砂子]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ドイツ=オーストリア同盟
ドイツ=オーストリアどうめい
Zweibund; Austro-German Alliance

独墺同盟とも呼ばれる。 1879年 10月ドイツ,オーストリア間に締結された防御同盟。ベルリン会議後,ドイツはロシアの恨みを買い,一方オーストリアとロシアの関係も悪化したので,73年の三帝同盟は事実上消滅した。このためビスマルクはロシアにそなえ,オーストリアとの提携を一層強化する意図からこの同盟を締結した。両国の一方がロシアから攻撃を受けた場合,他の一国は全力をあげてこれを助け,またロシア以外の第三国 (フランス) に攻撃された場合,他の一国は少くとも好意的中立を守ることを約した。この同盟はのちにイタリアの参加で三国同盟となった。

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