ドニプロ(読み)どにぷろ(英語表記)Днiпро/Dnipro

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドニプロ」の意味・わかりやすい解説

ドニプロ
どにぷろ
Днiпро/Dnipro

ウクライナのドニプロペトロウスク州の州都で、ウクライナ屈指の重工業都市。旧称エカチェリノスラーフЕкатеринослав/Ekaterinoslav(~1796、1802~1926)、ノボロシースクНовороссийск/Novorossiysk(1796~1802)、ドニエプロペトロフスクДнепропетровск/Dnepropetrovsk(1926~1991)、ドニプロペトロウスクДнiпропетровськ/Dnipropetrovs'k(1991~2016)。エカチェリノスラーフは女帝エカチェリーナ2世にちなむ。ドニエプロペトロフスクは政治家G・I・ペトロフスキー(1878―1958)を記念したもの。人口106万5000(2001)、99万0381(2018推計)。1783年ドニプロ(ドニエプル)川を見下ろす高台要塞(ようさい)として創設され、いまも市街の中心はここにある。左岸低地を含めて市域は川沿いに長さ15キロメートル、幅5キロメートルにわたる。右岸に河港があり、川沿いに重工業地帯がある。製鋼機械組立て、化学などの工業が発達し、ペトロフスキー記念製鉄所、コミンテルン記念製鉄所、ドニエプロペトロフスク・タービン工場などの大工場があり、ほかに製鋼用機械、コンバインタイヤコークス、大型プレス機械の工場もある。総合大学が置かれ、工業技術の研究・教育施設も多い。18世紀末建築のポチョムキン宮殿(現在学生会館として使用)、プレオブラジェンスキー聖堂などの歴史的建造物が残る。1983~1984年、地下鉄運行が開始された。

渡辺一夫・上野俊彦]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドニプロ」の意味・わかりやすい解説

ドニプロ
Dnipro

ウクライナ中東部,ドニプロペトロウシク州の州都。1783~96年,1802~1926年エカテリノスラフ Ekaterinoslav,1796~1802年ノボロシースク Novorosiysk,1926~2016年ドニプロペトロウシク Dnipropetrovsk(ロシア語名ドネプロペトロフスク Dniepropetrovsk)。ドニプロ川ドネプル川)中流部,サマーラ川流入点近くに位置する。エカテリーナ2世治下のウクライナの新都市として 1783年に建設。1880年代に鉄道が建設され,モスクワ,ドンバス(ドネツ炭田),オデーサ(オデッサ)などと結ばれてから工業化が進み,人口が急増した。1920年代以降,近くのクリビーイリーフ(クリボイログ)の鉄鉱石,ニーコポリのマンガン鉱,ドンバスの石炭,ドニプロ川の水力発電などを利用し,製鉄業をはじめとする重工業が発展した。1970年代に隣接するイフレン(イグレン),プリドニプロウシク(プリドネプロフスク)を吸収合併した。鋼管,機械類(冶金,農業,製紙,車両,プレス)などを製造する。また石炭化学製品,プラスチック,タイヤ,塗料,セメント,鉄筋コンクリート,製紙,食品,製靴などの工場もある。鉱山,農業,化学技術,冶金,医学などの大学がある。鉄道分岐点で空港もある。人口 98万948(2021推計)。

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