日本大百科全書(ニッポニカ) 「コンバイン」の意味・わかりやすい解説
コンバイン
こんばいん
combine
田や畑の上を走行しながら、イネ、ムギ、ダイズ、トウモロコシなどの穀物を収穫し脱穀作業などを行う農業機械。コンバイン・ハーベスターcombine harvesterの略語である。「コンバイン」は組み合わせる、結合するという意味の英語であり、このことばに収穫機械という意味はもともとなかったが、刈取り機と脱穀機を組み合わせた収穫機械をコンバイン・ハーベスターとよび、その略称としてコンバインということばが広く使われるようになった。
コンバインは、ムギなどの穀物の収穫作業を効率的に行うために、19世紀中ころにアメリカで発明された。初期のコンバインは畜力式であったが、20世紀になると内燃機関を搭載した動力式のコンバインとして進化し、今日のコンバインの原型となった。コンバインは、バリカンやディスク状の刃の刈取り部、刈り取った収穫物の搬送部、穂や茎から実を取り出す脱穀部、脱穀した穀粒を一時貯留するグレインタンク、排藁(わら)処理部などから構成されている。
日本では水田という湿地を走行するために装軌式(通称キャタピラー)の走行装置をもち、穂の部分だけを脱穀部に入れる独自の脱穀部をもつ自動脱穀コンバイン(いわゆる自脱コンバイン)が1967年(昭和42)に市販化されている。コンバインはその後も進化を続け、狭小な農地での収穫が可能なものや、傾斜地での収穫が可能なものも普及してきている。また、位置情報をGPS(全地球測位システム)でとらえながら収穫時の穀物の重さや水分などを逐次測定し、収量分布をコンピュータに取り込むことができるような収量コンバインも使われるようになった。さらに今日では、収穫作業を無人でできるようなロボットコンバインも登場してきている。
[谷脇 憲 2017年5月19日]