改訂新版 世界大百科事典 「ナイルワニ」の意味・わかりやすい解説
ナイルワニ
Nilotic crocodile
African crocodile
Crocodylus niloticus
クロコダイル科に属する代表的なワニ。別名アフリカワニ。北西部を除くアフリカの大部分およびマダガスカルに分布。全長4~6m,最大は7mに達し,現生のワニでは最大種の一つ。淡水性で,河川,湖沼のほか汽水域や海岸にも見られる。餌はレイヨウ類などの大型哺乳類や水鳥,魚で,腐肉をも食べ,若い個体はカエル,昆虫,甲殻類などをとらえる。夜間,水辺に水飲みにくる動物を待伏せして襲うが,岸辺の魚群や水鳥の巣を積極的にねらうこともある。また複数個体で獲物を狩ったり,とらえた大型動物をかみ切ったりすることが知られている。雌は岸辺の砂地に巣穴を掘り16~80個ほどを産卵し,孵化(ふか)するまで巣を守る。孵化には80日ほどを要し,雌は孵化した子ワニを口に入れて安全な場所まで運び,水中に放つ。本種は人にも危険であるが,地域によっては危険視されていない。古代エジプトでは神の使いとされ,現在でも地域により信仰の対象として保護されている。
→ワニ
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報