なだらか(読み)ナダラカ

デジタル大辞泉 「なだらか」の意味・読み・例文・類語

なだ‐らか

[形動][文][ナリ]
傾斜の度合いがゆるやかなさま。「なだらかな坂」
物の表面が角ばっていないさま。滑らか。
「鏡という道具は…―に人の顔を写さなくては義理が立たぬ」〈漱石草枕
「―なる石、かどある岩など」〈宇津保・祭の使〉
物事が滞ることなく進むさま。円滑なさま。滑らか。「なだらか口調
「若き人々の―に物聞こゆべきもなく」〈・橋姫〉
何も変わったことのないさま。平穏。無事。
「―にて世の中を過ぐさむことを願ふなり」〈・東屋〉
人の性格・態度などが、穏やかなさま。角立たないさま。
「我も人も心得て、―にもてなし過ぐし給はば」〈・若菜上〉
[派生]なだらかさ[名]
[類語]緩やか緩いだらだら

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「なだらか」の意味・読み・例文・類語

なだら‐か

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 ) 凹凸が少なく、ゆるやかなさま。なだら。
  2. 物の表面などが角々しくないさま。なめらかなさま。平らかなさま。
    1. [初出の実例]「世尊の身の皮は〈略〉潤ひ滑(ナタラカニ)して」(出典:彌勒上生経賛平安初期点(850頃))
    2. 「なだらかなる石、かどある岩など」(出典:宇津保物語(970‐999頃)祭の使)
  3. 平穏な状態であるさま。荒立たないさま。
    1. [初出の実例]「響の灘もなだらかに過ぎぬ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)玉鬘)
  4. ことばや筆跡などが滞りがなく落ち着いているさま。流暢なさま。
    1. [初出の実例]「わかき人々の、なだらかに、物聞こゆべきもなく」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
  5. 心や性格などが、穏やかで、円満なさま。平静で、落ち着いているさま。おとなしいさま。
    1. [初出の実例]「女は大人になれば、こよなくなだらかになるなれど」(出典:大和物語(947‐957頃)二条家本附載)
  6. 物事の程度が程よいさま。
    1. [初出の実例]「いと深からずとも、なだらかなる程にあひしらはむ人もがな」(出典:源氏物語(1001‐14頃)末摘花)
  7. 傾斜の度がゆるやかなさま。勾配がゆるいさま。
    1. [初出の実例]「掘様と云ふは、内の方を切立て塀の方をなだらかに掘る也」(出典:武教全書(1656)三)

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