日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナッカーラ」の意味・わかりやすい解説
ナッカーラ
なっかーら
naqqāra
一対の釜(かま)形太鼓の一種。通常、木製または金属製の胴体に革を張り、革紐(ひも)で締め付けてある。一方が高音用、もう一方が低音用である。2本の桴(ばち)を使用し、細かく複雑なリズムを奏するのに特色がある。宗教音楽や軍楽に用いられる。同類の楽器はイスラム文化圏を中心に広く分布しており、地域によって名称や楽器の形態が異なる。たとえばインドのラージャスターン地方のナッカーラーnaqqārā、トルコの軍楽で使われるナカラゼンnakarazenなど。また13世紀には、ネーカーnaker、ナケールnacairesという名称でヨーロッパに伝わり、ティンパニの原型となった。
[田井竜一]