改訂新版 世界大百科事典 「ナナホシテントウ」の意味・わかりやすい解説
ナナホシテントウ
seven-spot ladybird
Coccinella septempunctata
甲虫目テントウムシ科の昆虫。赤色の上翅に中央にある左右の紋を1個と数えて7個の黒色の斑紋があるのでこの名がある。体は黒色で体長8mm内外。日本各地のほか,中国,朝鮮半島などにも分布する。本種の原亜種はヨーロッパからアジアにかけて分布し,黒紋が小さいことからコモンナナホシテントウと呼ばれる。4月ころから出現し,アブラムシ類(アリマキ)を捕食する。アブラムシがいる植物に産卵。1卵塊は20~40個が多い。卵は約4日で孵化(ふか)し幼虫はアブラムシを食べて成育し,2~3週間後に葉の裏側などで蛹化(ようか)する。幼虫は4齢までで成育とともに1日に食べるアブラムシの数は増える。さなぎの期間は約4日。羽化した新成虫は約10日後には産卵ができ,死ぬまでに7~24卵塊,平均約360個の卵を産む。幼虫は紫褐色の皮膚に白粉を装い,前胸部と第1・第4腹節の左右などに黄赤色紋があるほか,各節に対をなす隆起がある。1年に数世代を繰り返し,成虫で越冬する。成虫の雌雄は似ているが,雄は第6腹節(末端節)の腹面に横長のくぼみをもつことで雌から区別できる。天敵としてテントウヤドリコマユバチなどが知られる。
→テントウムシ
執筆者:林 長閑
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報