日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニッケルカルボニル」の意味・わかりやすい解説
ニッケルカルボニル(データノート)
にっけるかるぼにるでーたのーと
テトラカルボニッケル(0) | |
Ni(CO)4 | |
式量 | 170.7 |
融点 | -25℃ |
沸点 | 42.3℃ |
比重 | 1.356(測定温度0℃) 蒸気 6.01(空気=1) |
結晶系 | 立方 |
屈折率 | (n)1.4584 |
溶解度 | 0.018g/100g(水10℃) |
ニッケルカルボニル
にっけるかるぼにる
nickel carbonyl
ニッケルの一酸化炭素錯体。テトラカルボニルニッケル(O)が知られている。最初の金属カルボニルとして1890年、ドイツ生まれのイギリスのモンドLuding Mond(1839―1909)によって発見された。酸化ニッケルを新しく還元してつくった金属ニッケルに60℃で一酸化炭素を作用させると得られる。揮発性、可燃性の無色の液体で、固体状態では針状結晶。水にはほとんど溶けないが、ベンゼン、エーテル、クロロホルムなどには溶ける。60℃以下では安定であるが、約200℃で黒色粉末状の金属ニッケルと一酸化炭素とに分解する。
200℃
2Ni(CO)4―→Ni+2C+CO2
この反応は純粋なニッケルの工業的製造に利用される。急に熱すると分解して爆発する。きわめて毒性が強いので吸入しないようにするなど十分に注意を要する。
[鳥居泰男]