金属カルボニル(読み)きんぞくカルボニル(英語表記)metal carbonyl

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金属カルボニル」の意味・わかりやすい解説

金属カルボニル
きんぞくカルボニル
metal carbonyl

配位子としてカルボニル CO をもっている錯化合物バナジウムクロムマンガン,鉄,コバルトニッケルモリブデンルテニウムロジウムタングステンレニウムイリジウムなど周期表の5,6,7,8,9,10族の遷移金属だけが金属カルボニルをつくることが知られている。一般に金属微粉末に一酸化炭素を直接作用させてつくる。金属カルボニルには非常に揮発性の高いものがいくつかあり,容易に一酸化炭素と金属に分解する。このため,特別に高純度の金属をつくる原料として,また有機化合物を合成する際の触媒として使用される。ニッケルカルボニルコバルトカルボニルレッペ反応およびオキソ反応の触媒として有機合成に利用される。
CH≡CH+H2O→CH2=CHOH
( Ni(CO)4 を利用)
CH2=CH2+CO+H2→H3CCH2CHO
( Co(CO)8 を利用)

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