ニュートリノ振動(読み)ニュートリノしんどう(英語表記)neutrino oscillation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニュートリノ振動」の意味・わかりやすい解説

ニュートリノ振動
ニュートリノしんどう
neutrino oscillation

ニュートリノが生成され空間内を移動しているときに,その種類がたえず入れ替わっているという現象。かつて質量がないと考えられていたニュートリノに微小な質量があることを示している。ニュートリノはその発生源となる粒子に対応して,電子ニュートリノ(νe),μニュートリノ(νμ),τニュートリノ(ντ)に分類されるが,この発生メカニズムによる分類と質量による分類にずれがあるために起こる現象である。理論的には 1962年に牧二郎らによって予測されていたが,1998年以降実験的に明らかにされた。これまで,太陽からのニュートリノの地球での観測,大気中で宇宙線により発生するニュートリノの地球の反対側での観測,原子炉で発生するニュートリノの観測,加速器で発生するニュートリノの,距離が大きく異なる 2ヵ所での観測などがなされた。日本のカミオカンデ,カムランド,高エネルギー加速器研究機構 KEKなどで行なわれた実験の寄与も大きい。太陽で発生している種類のニュートリノνe地上での観測量がなぜ予想の 3分の1程度なのかという長年の疑問も,ニュートリノ振動によって解決した。

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