ブラジルの建築家。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロに生まれる。同地で国立美術学校に学ぶ。同校長であり、ブラジル建築界の指導的地位にもあったルチオ・コスタLucio Costal(1902―1998)に師事し、1934年に卒業。その後コスタの建築事務所に入った。1936年文部保健省の設計計画に参加し、顧問として招かれていたル・コルビュジエから大きな感化を受けた。やがてコスタの後継者として実力を発揮するようになり、文部保健省を完成させたのみならず、1939年のニューヨーク万国博ブラジル館の設計においては、コスタとの共作によって国際的に知られるようになった。1940年代には、自邸を含めたレストランやヨットクラブなど、さまざまな余暇施設を相次いで設計し、そのキャリアを不動のものにした。1947年にはル・コルビュジエらとともに、超国家的プロジェクトであった国連ビル(ニューヨーク)の設計に参加。1951年からはサン・パウロ市400年祭のための博覧会場ならびに総合計画を担当し、それまでの作風の集大成を図った。
1956年、ブラジル新首都(ブラジリア)計画実行委員会においてチーフを任され、大統領官邸、議事堂、劇場など数々の主要建築を設計し、現代建築史におけるもっとも輝かしい記念碑的なデザインとなっている。その後、ブラジル共産党への加入による政治活動への傾倒のためにフランスへの国外追放を余儀なくされた1964年までの間、新都市ブラジリア建設の仕事を続けた。1960年代後半にふたたび故郷へ帰り、リオ・デ・ジャネイロ大学で教鞭(きょうべん)をとるかたわら、自身の設計活動も再開した。
20世紀を通じてヨーロッパ主導型で進んだ近現代建築の波のなかで、とくにル・コルビュジエからの明らかな影響を認めつつも独自の境地を切り開き、また、逆にヨーロッパの建築家たちに影響を与え返した偉大な非ヨーロッパ建築家の一人である。ニーマイヤーの仕事をひとことで説明するのはむずかしいが、その特徴は、ヨーロッパに端を発した近代建築の禁欲的な手法を、より肉体的で官能的な造型へと翻案した点にあり、実際にその造型はしばしばきわめて奔放である。たとえば若き日のニーマイヤーに直接的な影響を与えたル・コルビュジエでさえ、後期の作品には彼からの逆影響を読みとることができるほどである。後の世代であるレム・コールハースのように、頻繁に彼を参照源とする建築家もいる。そのため、祖国ブラジルばかりか南アメリカ全体の英雄と目されているが、実際に建設されたブラジリアに関して、たとえばそのスケールの逸脱のゆえに人間主義的建築計画学の観点から批判も多く受けており、賛否は分かれている。
1970年度のアメリカ建築学会賞金賞、1988年度のプリツカー賞を受賞。90歳を越えてからも、ブラジル最大の建築家として国家レベルのプロジェクトを手がけており、1996年にはリオ・デ・ジャネイロ近郊にニテロイ国立近代美術館が完成。そのほか、ブラジリアで国立美術館、ベトナムで迎賓館のプロジェクトなどを手がけた。
[堀井義博]
『吉阪隆正・鈴木恂文、二川幸夫写真『現代建築家シリーズ オスカー・ニーマイヤー』(1975・美術出版社)』▽『ギャラリー・間編『オスカー・ニーマイヤー 1937-1997』(1997・TOTO出版)』▽『Stamo PapadakiThe work of Oscar Niemeyer(1950, Reinhold Pub. Corp., New York)』▽『Stamo PapadakiOscar Niemeyer ; works in progress(1956, Reinhold Pub. Corp., New York)』▽『David UnderwoodOscar Niemeyer and the Architecture of Brazil(1994, Rizzoli, New York)』
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ドイツのプロテスタント神学者,教育学者。神学者A.H.フランケの曾孫。ハレ大学で神学を学び,1784年から同大学の神学の正教授として教育学も講じ,1807年から15年までは総長を務めた。また1799年以降は,フランケ学院長として曾祖父の遺業をも継承した。教育学上の主著《両親・家庭教師および教育者のための教育と教授の諸原理》(1796)は,教育に関する当時の代表的な諸見解(ルソー,汎愛派,カントなど)を折衷的に集大成したものであるが,ドイツにおける体系的教育理論の最初の試みとして評価されており,J.F.ヘルバルトにも大きな影響を与えた。
執筆者:平野 正久
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