日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニールセン」の意味・わかりやすい解説
ニールセン(Carl August Nielsen)
にーるせん
Carl August Nielsen
(1865―1931)
デンマークの作曲家。父からバイオリンの手ほどきを受け、1884~86年コペンハーゲン音楽院に学ぶ。初め王立管弦楽団のバイオリン奏者、のち王立歌劇場やコペンハーゲン音楽協会の指揮者として活躍した。作曲ではブラームス、グリーグ、リストらの影響を受けた後期ロマン主義から出発したが、のちには独自のポリフォニックな作風を確立、時代を先取りする多調の傾向を示した。作品はオペラ、交響曲、室内楽、デンマーク語による歌曲など全領域にわたるが、六曲の交響曲がよく知られ、とくに第二番「四つの気質」(1901)、第四番「不滅」(1916)が有名。
[細川周平]
ニールセン(Asta Nielsen)
にーるせん
Asta Nielsen
(1882―1972)
デンマーク出身の映画女優。コペンハーゲンに生まれる。師でありのちに夫となるウァバン・ギャズが監督した『深淵(しんえん)』(1910)で舞台女優から映画に転身。生気に満ちた美しさでたちまち「スカンジナビアのサラ・ベルナール」と注目を浴び、最初のスターの1人となった。1911年ドイツへ移り、『珍鳥』(1911)などでドイツ映画草創期の大きな力となった。36年に故国に戻るまでに『女ハムレット』(1920)、『喜びなき街』(1925)、『娼婦(しょうふ)の悲劇』(1927)などのサイレント映画に出演した。
[出口丈人]