トルバルセン(読み)とるばるせん(英語表記)Bertel Thorvaldsen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルバルセン」の意味・わかりやすい解説

トルバルセン
とるばるせん
Bertel Thorvaldsen
(1768―1844)

デンマーク彫刻家コペンハーゲンに生まれ、同地の美術アカデミーに学ぶ。スウェーデンの彫刻家セルゲルに認められ、30歳のときローマに留学し、以後40年間その地で制作した。大理石のもつ冷ややかな夢幻性を精巧な技術で刻み、新古典主義の代表的な彫刻家として、カノーバとともに19世紀前半の芸術界を風靡(ふうび)した。1812年に予定されていたナポレオン1世のローマ訪問にあわせて制作した35メートルに及ぶ彫刻壁『アレクサンダー大帝』によって、浮彫り名手ともたたえられた。ギリシア神話主題とした代表作『ガニメデス』をはじめ多数の作品が、コペンハーゲンのトルバルセン美術館に収蔵されている。肖像彫刻にも優れ、ポーランドの『コペルニクス像』など、作品はヨーロッパ全土に散在している。

[三田村畯右]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルバルセン」の意味・わかりやすい解説

トルバルセン
Thorvaldsen (Thorwaldsen), Bertel

[生]1768.11.13. /1770.11.19. コペンハーゲン
[没]1844.3.24. コペンハーゲン
デンマークの彫刻家。 A.カノーバとともに新古典主義彫刻家の双璧とされる。木彫職人の子でコペンハーゲンの王立アカデミーに学び,1797年国費でローマ留学,1838年まで同地にとどまった。 03年イギリス人の注文により制作した『ヤーソン像』がカノーバに高く評価され,国際的名声を得る。古代ギリシア彫刻に心酔し,テーマをギリシア神話や聖書に多く求め,『ガニュメデス』 (1804) ,『キリスト十二使徒』 (38) など多数の作品を制作,現在その多くは生地のトルバルセン美術館に収集されている。

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