ヌマビル(読み)ぬまびる

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌマビル」の意味・わかりやすい解説

ヌマビル
ぬまびる / 沼蛭
[学] Helobdella stagnalis

環形動物門ヒル綱グロシフォニ科に属する水生動物。日本各地の池、沼、湖などにすみ、スイスでは2400メートルの高山にみられる。世界共通種。体は細長い卵形で、長さ6~12ミリ、幅約4ミリの灰白色半透明。第八体節の背面中央に黄褐色キチン質小板がある。前吸盤は後吸盤より小さい。目は第四体節上に一対ある。雌雄両生殖口は第12体節に開くが、雄生殖口が多少前方に位置する。胃の両側には六対の単純な形の側盲嚢(そくもうのう)がある。夏は水中のショウブの葉の上で生活しており、秋になって葉が枯れると根の間に集まってすむ。4~9月にかけて数回産卵するが、産み出した卵嚢を規則正しく体の腹面に付着させて保護する。卵の発生が進んで胚(はい)になると、卵嚢が破れて親の腹面に一層に並んで付着する。その後、孵化(ふか)した幼虫はしばらく後吸盤で付着したあと、親から離れて独立する。4、5月に生まれた個体は7、8月に成熟・産卵してその後死ぬが、7、8月に生まれた個体は越冬して翌春に産卵する。食物の豊富な硬水の場所をもっとも好み昆虫ユスリカの幼虫の血を吸う。

[今島 実]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌマビル」の意味・わかりやすい解説

ヌマビル
Helobdella stagnalis

環形動物門ヒル綱グロシフォニ科。体長6~12mm。体は灰白色半透明のやや細長い卵形で,体前方の背面中央に黄褐色のキチン質の小板を1個そなえている。雌雄同体。池,沼,湖など淡水域に生息し,貝類,小昆虫類などの体液を吸う。世界に広く分布し,日本では北海道本州に分布する。

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