ヌート(その他表記)Nut

精選版 日本国語大辞典 「ヌート」の意味・読み・例文・類語

ヌート

  1. ( Nut ) エジプト神話天空女神大地ゲブの妻で、オシリスイシスセトネフティスの母。夜になるとゲブにおおいかぶさり、大地に暗黒をもたらし、胴や手足にちりばめた無数の星で、暗黒の大地を照らす。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヌート」の意味・わかりやすい解説

ヌート
Nut

古代エジプトの天空の女神。ヘリオポリス神学によれば,大地の神ゲブの妻,オシリス,イシス,セト,ネフテュスの母で,ヘリオポリス九柱神の一人,シューテフヌートの娘とされる。シューに支えられて,両足両手東西の地平線に置いた姿で表されるが,地上に立つ巨大な牝牛の姿をとることもある。体には星辰がちりばめられ,太陽神ラーの聖船が昼夜そこを行き来するとも信じられた。また,原初の水の化身たるヌーNuの妻とも考えられた。〈死者の書〉にあっては,ハトホルと融合して,シカモア樹の中に立ち,死者の魂(バー)に水を与えている姿で表されている。
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百科事典マイペディア 「ヌート」の意味・わかりやすい解説

ヌート

古代エジプトの天空神。大地神ゲブの妻,オシリス,イシスらの母。指先足先とで大地(ゲブ)にふれ,弓なりになった腹部に星が輝き(天の川),シュー大気)がこれを支える。ラーの聖船が往来するとも。

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世界大百科事典(旧版)内のヌートの言及

【ゲブ】より

…古代エジプトの大地の神でヘリオポリスの九柱神の一人。シューとテフヌートの子ども,ヌートの兄で夫,オシリス,イシス,セト,ネフテュスの父でもある。ヌートと一体であったがシューによって引き離され,ヌートは身に星辰をちりばめた大空となったとされる。…

※「ヌート」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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