日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネオジム弘三石」の意味・わかりやすい解説
ネオジム弘三石
ねおじむこうぞうせき
kozoite-(Nd)
炭酸塩鉱物の一つ。2000年(平成12)に宮脇律郎(りつろう)(1959― )らによって佐賀県東松浦(ひがしまつうら)郡肥前(ひぜん)町(現、唐津(からつ)市肥前町)新木場(にいこば)から記載された新鉱物である。2003年にそのランタン置換体であるランタン弘三石kozoite-(La)(化学式La[OH|CO3])も、肥前町満越(みつこし)から記載された。アンキル石ancylite-(Ce)(Sr(Ce,La)[OH|(CO3)2]・H2O)群鉱物の一員。
自形は電子顕微鏡下で観察されるが、低い斜方複錐(すい)。肉眼的にはこれが集合した直方体の立体。アルカリ橄欖(かんらん)玄武岩の空隙(くうげき)にネオジムランタン石lanthanite-(Nd)(Nd2[CO3]3・8H2O)、木村石などと共存する。原産地周辺に何か所か産地がある。命名はその化学成分と、分析化学者・鉱物学者の長島弘三(1925―1985)の名にちなむ。
[加藤 昭]