ネグロ川(読み)ネグロがわ(その他表記)Rio Negro

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネグロ川」の意味・わかりやすい解説

ネグロ川
ネグロがわ
Rio Negro

アマゾン川左岸の大支流で,おもにブラジル北西部アマゾナス州を流れる。コロンビア東部の熱帯雨林地帯にグアイニア川として源を発し,東流したのちコロンビア=ベネズエラ国境に沿って南南東へ流れ,サンカルロス付近でオリノコ川水系との天然の連絡水路であるカシキアレ川合流,これより下流ネグロ川と呼ばれる。同国境を離れブラジルに入ったのち,ほぼ赤道直下を東流,次いで南東へ転じながら南流してきたブランコ川を合せ,マナウスのやや下流でアマゾン川本流に注ぐ。全長約 2000km。沿岸の人口は少いが,点在する集落にとって重要な交通路となっている。河名はポルトガル語で「黒い川」の意であるが,これは,この川の源流部が漂白された砂質地帯で,シルトがほとんど運搬されないため河水が透明で,かつ沿岸の沼沢地帯から多量の有機物が溶込んで黒ずんでみえることに由来しており,シルトを含んで黄濁したブランコ川 (「白い川」の意) やアマゾン川本流と著しい対照をなす。アマゾン川本流との合流点では,両川の流れが速いため,黒ずんだ水と黄濁した水が混流せず,数 kmにわたってはっきりと分れたまま流れる。

ネグロ川
ネグロがわ
Río Negro

ウルグアイを流れる川。ラプラタ川をつくるウルグアイ川の左岸支流。ブラジル南端部の丘陵地帯,バジェの東に源を発し,南西流してウルグアイに入ったのち,西南西ないし西に流れながら同国中央部を横切り,メルセデスを経てソリアノでウルグアイ川下流部に注ぐ。中流部,パソデロストロスのやや上流にリンコンデルボネテ水力発電所とダムが建設されており,その上流に大規模な人造湖ができている。最下流部では川幅が広くなり,河中にビスカイノ,ロボスなどの小島がある。全長約 800kmであるが,航行できるのは最下流部の約 70km。

ネグロ川
ネグロがわ
Río Negro

アルゼンチン中南部を流れる川。アンデス山脈中に源を発する多くの小河川を集めたネウケン川とリマイ川が,ネウケンの近くで合流してネグロ川となり,リオネグロ州を横切って東,次いで南東へ流れ,ビエドマの下流で大西洋に注ぐ。全長約 650km (ネウケン川を含めると約 1100km) のうち下流部の約 400kmが航行可能。河水は水力発電のほか,灌漑に利用されて穀物やブドウその他の果樹が栽培される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネグロ川」の意味・わかりやすい解説

ネグロ川(アマゾン川北岸の支流)
ねぐろがわ
Rio Negro

アマゾン川北岸の支流。コロンビア東部の平野を源流とし、ベネズエラを経てブラジルに入り、マナウスでアマゾン川に合流する。全長約1800キロメートル(支流ウアウペス川源流からは約2000キロメートル)、流域面積約70万平方キロメートル。ベネズエラ領内では、カシキアレ水路を通じてオリノコ川の水の一部が流入する。「黒い」を意味するネグロという名のとおり、河水はコーヒーのような黒みを帯びた褐色を呈するが、泥などの浮遊物は少なく澄んでいる。マナウスより770キロメートル上流まで船の航行が可能である。支流のブランコ川流域の一部が草原であるほかは、全流域が密な熱帯雨林で覆われている。

[松本栄次]



ネグロ川(南アメリカ南部の川)
ねぐろがわ
Río Negro

南アメリカ南部の川。アンデス山脈に発し、アルゼンチンのパタゴニア地方北部を流れて大西洋に注ぐ。流域面積約7万平方キロメートル。上流部はネウケン川とリマイ川の二大支流よりなり、最大流路長はネウケン川源流からの1145キロメートル。年平均流量は毎秒約1000立方メートル、流量の最大は10月(毎秒1600立方メートル)、最小は3月(毎秒300立方メートル)である。流域ではリンゴ、ナシなどの果樹栽培が盛んである。支流のリマイ川上流はパタゴニアの湖水地方で、ナウェル・ワピ湖など多くの氷河湖がある。

[松本栄次]


ネグロ川(南アメリカ南東部、ウルグアイを流れる川)
ねぐろがわ
Río Negro

南アメリカ南東部、ウルグアイを流れる川。ブラジルの南端部を源流とし、ウルグアイの中央部を流れてウルグアイ川に注ぐ。全長は約700キロメートル、流域面積は約7万平方キロメートルある。中流部に南アメリカ屈指の広さをもつリオ・ネグロ貯水池があり、首都モンテビデオの飲料水と電力の大半がここから供給されている。ウルグアイ川との合流点近くが森林である以外、流域のほとんどは緩く波打った平野に草原が広がり、ウシとヒツジの牧場になっている。

[松本栄次]

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