ネマン川(その他表記)Neman

改訂新版 世界大百科事典 「ネマン川」の意味・わかりやすい解説

ネマン[川]
Neman

ベラルーシからリトアニアに流れ,バルト海に注ぐ川。リトアニアではナムナス川と呼ぶ。長さ937km,流域面積9万8200km2。はじめミンスク丘陵南部(標高約340m)から南,ついで西に流れ始め,北に向きをかえ,激しく曲流してカウナスを過ぎ,さらに西に流れてバルト海のクルスキー潟に注ぐ。最下流部のソビエツク以下約40kmは大きなデルタで,いくつかの分流に分かれるが,水量の80%を占めるのは右岸(北岸)分流のニャリス川,流量は年平均685m3/sである。夏の雨により増水し冬季12月から翌年3月末までは凍結する。河口から780kmまで航行可能であるが,カウナスの12km上流のカウナス水力発電所でいちど船を換えなくてはならない。全域が木材のいかだ流しにも利用される。中流から西へアウグストフ運河により二つの川を経てビスワ川と結ばれる。かつてオギンスキー運河ドニエプル川へ出る水路をつくっていたが,現在は閉じられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ネマン川」の意味・わかりやすい解説

ネマン川
ネマンがわ
reka Neman

リトアニア語ではニャムナス Nemunas 川。ベラルーシとリトアニアを流れ,バルト海に注ぐ川。全長 937km。流域面積9万 8200km2。ベラルーシのミンスク南西方,ミンスク丘陵南斜面に発し,西流,北流してリトアニアへ入り,カウナス付近で西へ向きを変えたのちリトアニアとロシアのカリーニングラード州との境界を流れて,バルト海のクルシ湾に注ぐ。河口から 670km上流まで航行可能。 11月末~3月中旬は結氷。リトアニアの水運の大動脈で,木材,小麦などの輸送に利用されるほか,カウナス上流には水力発電所と貯水池がある。沿岸にはほかにグロドノアリトゥス,ソビエツクなどの都市がある。主要支流はビリヤ (ネリス) ,ネベジス,シャシュペなど。運河によりウィスワ川やドネプル川水系と連絡。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネマン川」の意味・わかりやすい解説

ネマン川
ねまんがわ
Неман/Neman

ベラルーシ、リトアニアを流れる川。リトアニアではニャムナスНямунас/Nyamunas川とよぶ。ベラルーシのミンスク南方に発し、初め西流、グロドノ付近で北に向きを変え、リトアニアに入る。カウナス付近からふたたび西流し、バルト海のクルスク潟(かた)に注ぐ。全長937キロメートル、流域面積約9万8200平方キロメートル。下流部はロシア共和国カリーニングラード州とリトアニア共和国との境界をなす。12月から3月まで結氷する。リトアニアの沿岸には保養地がある。

[熊木洋太]

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世界大百科事典(旧版)内のネマン川の言及

【プロイセン】より

…プロイセンという呼称は,最も広い意味では,1871年以来ドイツ帝国の中核を形成したプロイセン王国を指す。しかし,行政区域としては,この王国の北東部,すなわちポンメルン州とブランデンブルク州の東方,ワイクセルWeichsel川(ビスワ川)を越えてメーメルMemel川(ネマン川)に至る,バルト海沿いの地域について用いられる。後者の意味でのプロイセンは,さらに,ワイクセル川を境に東プロイセン(オストプロイセンOstpreussen)と西プロイセンとに大別されるが,歴史的には東プロイセンが最も古く,中世初期この地域に定住していたバルト語系のプルッセン人(プロイセン人)Prussenからプロイセンという地名が生まれた。…

※「ネマン川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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