カウナス(読み)かうなす(英語表記)Каунас/Kaunas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カウナス」の意味・わかりやすい解説

カウナス
Kaunas

旧称コブノ Kovno。リトアニア中部の都市。首都ビリニュスに次ぐ同国第2の都市。ビリニュスの西北西約 90km,ネマン川とビリヤ (ネリス) 川の合流点にある。ネマン川沿いの低地に商業地区,台地上に住宅地区,官庁街があって,ケーブルカーがこの間を結ぶ。 1030年要塞がつくられたのが始りで,1317年市となった。 1569年にはポーランドへ,1795年にはポーランド分割によってロシアへ帰属した。 1918年リトアニアが独立したのち,古来の首都ビリニュスがポーランドに占領されたため,これに代って 40年までカウナスがリトアニアの首都となった。工業生産は,電気機器,電動機,タービン,工作機械,暖房機器,毛織物化繊食肉加工,製紙皮革,家具,工芸品などの部門が盛ん。川の合流点に残る城跡のほか,古い市庁舎 (16世紀) や聖堂などが保存されており,農業,医科工科などの大学,軍事博物館などがある。 60年に市の上流約 10kmのネマン川にダムと水力発電所が建設された。人口 43万 3600 (1992推計) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「カウナス」の意味・わかりやすい解説

カウナス
かうなす
Каунас/Kaunas

リトアニア共和国第二の都市。人口37万8943(2001)。ネマン川とネリス川の合流点に位置し、市の中心部はネマン川右岸に発達している。11世紀初頭に記録に登場する古い都市で、14~15世紀初頭にはリトアニアとチュートン騎士団との闘争で戦略上重要な役割を果たした。侵略と破壊が繰り返されたが、15世紀に自治制を確立し、手工業と商業の中心地として発展した。古くから皮革工業絹織物工業が盛んで、第二次世界大戦後、機械金属工業(タービン、モーター、無線機、暖房用ボイラー)、軽工業(絹織物、毛織物、縫製、合成ゴム、木製品)、食品工業(食肉、酪製品)など30以上の大工場が新たに建設された。鉄道、幹線道路が分岐する交通上の要衝でもある。町並みはリトアニア・ゴシックの美しい歴史的建造物が多く、13~17世紀に建設された城や、ビタウタス教会(1400)などみるべきものが多い。

山本 茂]

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