改訂新版 世界大百科事典 「ネリガン」の意味・わかりやすい解説
ネリガン
Émile Nelligan
生没年:1879-1941
フランス系カナダの詩人。モントリオール生れ。17歳ごろから詩を発表し,当時の前衛的詩人グループ〈モントリオール文学学派〉の活動に加わって一躍注目を浴びるようになった。1900年に発病して入院,以後詩作をほとんど絶ったまま没するまで40年余りを精神病院で過ごした。詩人として活躍したのはわずか3年余り,発表した詩も20編余りしかなかった。しかし,ベルレーヌやボードレールの強い影響を受けたこの天才詩人の出現が刺激となって,ようやくフランス系カナダの詩は,それまでの愛国的・ロマン派的詩風から脱却して,象徴派の時代に入ることができたといわれる。没後,《全詩集1896-1899》(1952)が出た。
執筆者:平野 敬一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報