日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネーダー」の意味・わかりやすい解説
ネーダー
ねーだー
Ralph Nader
(1934― )
アメリカの消費者運動家、弁護士。コネティカット州ウィンステッドにレバノン移民の子として生まれる。苦学をしてプリンストン大学を卒業、ハーバード大学で学んで弁護士資格を取得。1965年『どんなスピードでも自動車は危険だ』Unsafe at Any Speedという本を書いてゼネラル・モーターズ社の欠陥車を告発、1968年消費者運動のためネーダー突撃隊を結成、1972年上下両院議員の勤務内容と政治資金源を暴露。大企業の不正、食品公害、放射能汚染、殺虫剤の危険性、政治の腐敗などの問題を次々と取り上げ、アメリカのみならず各国のコンシューマリズムの活発化に貢献した。1971年公共市民財団(パブリック・シチズン)を設立し、1980年まで代表を務めた。1996年および2000年の大統領選挙で「緑の党」から出馬し、民主・共和の二大政党に対抗した。とくに2000年の選挙では、45州で大統領候補として名のりをあげ、一般投票で265万票余りの得票数と約2.8%の得票率を得た。2004年、2008年の大統領選挙には無所属で出馬した。問題の所在を絶えず個人の側からみて、それを広く社会的、政治的な次元で是正しようとするのがネーダー運動Naderismの特徴である。
[河内信幸]
『河本英三訳『どんなスピードでも自動車は危険だ』(1969・ダイヤモンド社)』▽『野村かつ子訳『アメリカは燃えている』(1972・亜紀書房)』▽『野村かつ子訳・監修『未来へのビジョン』1~3(1989・協同図書サービス)』▽『FNCB特別調査グループ編、原司郎監訳『シティ・バンク』(1978・日本評論社)』