のろ(読み)ノロ

デジタル大辞泉 「のろ」の意味・読み・例文・類語

のろ

スラグ1

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精選版 日本国語大辞典 「のろ」の意味・読み・例文・類語

のろ

  1. 〘 名詞 〙 金属精錬などで、鉱石を溶融したとき、炉の上層部にたまる非金属物質のかす。鉱滓(こうさい)。スラグ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「のろ」の意味・わかりやすい解説

のろ
のろ / 祝女

琉球(りゅうきゅう)諸島の女性神役。方言ではヌルと発音する。村落の祭祀(さいし)を統轄主宰する神役で、奄美(あまみ)諸島と沖縄諸島では「のろ」、宮古列島八重山列島では「つかさ」とよぶ。のろは首里(しゅり)王府から任命された公職で、のろ地と称する役地が与えられ、1667年(寛文7)までは御朱印(ごしゅいん)(辞令書)も発給されていた。現在知られている最古ののろの御朱印は、喜界(きかい)島の東間切阿伝(ひがまぎりあでん)ののろの1569年(永禄12)のものである。1609年(慶長14)以後、薩摩(さつま)藩領になった奄美諸島では、制度上、首里王府との関係が切れるが、多くの村では社会慣習としてその機能が生き続けてきた。沖縄諸島でも、廃藩置県後は沖縄県知事の任命を受けるなど、制度上の変遷が起こるが、根強くその社会的役割を果たしてきた村が多い。

 琉球の伝統的な村落では、男子が行政を、女子が祭祀を分担するのが基本原理である。王家の国王と聞得大君(きこえおおきみ)がその代表的な例である。のろもその一例で、おそらく古い時代には、村の領主家の女子が村の祭祀をつかさどったものであろう。『琉球神道記(しんとうき)』(1603~06)の創世神話では、最初に生まれた人間3人は、それぞれ、地域の領主、のろ、民衆の先祖になったとある。この領主は後世の地頭(じとう)職に相当するが、領主が村落社会に土着していた時代の実態を伝える史料はほとんどなく、地頭家からのろが出ていた実例も知られていない。沖縄諸島では、村の草分けの家を根屋(ねや)(ニーヤ)といい、そこの当主が根人(ねひと)(ニーッチュ)として村をまとめ、その姉妹が根神(ねがみ)(ニーガン)として村の祭祀をつかさどるが、根神はのろの支配の下にあった。根神は民衆階層、のろは支配階層の違いがある。

 のろの公的な住居をのろ殿内(どのち)(ドゥンチ)とよぶ。のろ殿内の主神は火の神である。のろは父系的な特定の家系から出ることになっている。辞令書でみると、後継者は妹、姪(めい)の例もあるが、子が多く、孫もある。のろは結婚することも許されており、実子が継いだ例も多いようである。江戸時代には、一族のなかから後継者にふさわしい少女を養子にし、子として後を継がせている例もある。のろが首里王府の公職になったのは、中央集権確立した尚真(しょうしん)王時代といわれるが、そのときそのときの政治体制の変遷に伴い、変化してきたものであろう。もとは大(おお)のろと称して、一般ののろより格式の高いのろがいたらしい。首里・那覇地方で大(おお)あむと名のったのろは、その名残(なごり)であろう。宮古列島と八重山列島には、のろより上位の大あむと称する女性神役があって、それぞれの列島内のつかさを統轄した。大あむは首里王府から任命される公職であったが、つかさは王府の直接の支配を受けず、制度上は、のろとは異質であった。

[小島瓔


ノロ
のろ
roe
[学] Capreolus capreolus

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目シカ科の動物。ノルともいう。中形のシカで、ヨーロッパ中国中近東と分布域が広い。地域によりいくつかの亜種があるが、大きく次の3亜種に分けられる。ヨーロッパノロC. c. capreolusは、ヨーロッパから中近東にかけて分布する。肩高60~68センチメートル。マンシュウノロC. c. bedfordiは、肩高65~78センチメートル。夏毛冬毛の色彩的差異があまりない。中国、朝鮮半島などに分布する。オオノロC. c. pygargusは、3亜種のなかで最大で、肩高70~90センチメートル。アルタイ、アムール地方に産する。

 本種の毛色は、夏毛は赤黄色、冬毛は灰褐色。晩春から初夏にかけて成獣の雄は縄張りテリトリー)をつくる。7月下旬から8月上旬の発情期に入ると、雄は雌を追い、2頭はノロの輪といわれる円を描くように走る。妊娠期間は9か月半にもなる場合があり、受精卵の着床遅延が認められている。出産期は5~6月。1産に普通2子、ときに3子、まれに4子を産む。寿命は15年ぐらいである。

増井光子


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百科事典マイペディア 「のろ」の意味・わかりやすい解説

のろ(神女)【のろ】

琉球で祭祀をつかさどる神女で,〈のろ〉のほか〈のろくめ〉〈のるくめ〉などと記される。祝女とするのは宛字。琉球王国のもとでは聞得大君(きこえおおきみ)・君々(きみぎみ)・大阿母(おおあも)という神女組織の末端に位置づけられ,王国の地方行政の区分である間切(まぎり)にあって,〈しま〉(村)の祭を管轄していた。〈のろ〉職に就任する女性は国王から辞令書を受け,給地を与えられたが,それによれば〈たいくまのろ〉(大熊のろ)のように,しまの名を冠している事例もある。〈のろ〉職にあった家では辞令書が失われても,祭衣のハブラハギドギン,首飾の玉ハブル,太陽や鳳凰を描いた扇などの祭具が残されている。なお生涯独身を通したという伝承があるが,既婚者は少なくない。またしま全体ではなく,個人的な事情から神を拝む場合には〈ゆた〉という祈祷師があたる。〈ゆた〉も女が多いが,〈のろ〉と異なり男の例もあり,また〈のろ〉による祭祀が形骸化する現在にも〈ゆた〉の活動は続いている。宮古(みやこ)・八重山では〈のろ〉にあたる神女として〈つかさ〉(司)がいた。

ノロ

ノロジカとも。偶蹄(ぐうてい)目シカ科。体長1〜1.1m,肩高64〜89cm。夏毛は赤褐色,冬毛はオリーブ褐色で,しりに大きな白斑が現れる。ヨーロッパ〜中国東北部,朝鮮半島,アムール流域に分布。疎林や低木の多い草原にすみ,朝夕1対または小群で出歩き,草や木の若芽,果実などを食べる。1腹2子前後。肉は良質で美味。
→関連項目与論島

のろ(製錬)【のろ】

スラグ

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改訂新版 世界大百科事典 「のろ」の意味・わかりやすい解説

ノロ (獐)
roe deer
Capreolus capreolus

偶蹄目シカ科の哺乳類。別名ノロジカ。長さ20cm程度の3尖(せん)の小さな角をもつ小型のシカ。ヨーロッパから中国北部,朝鮮半島にかけてのインドを除くユーラシア大陸に広く分布するが,日本にはすまない。体色は,ふつう夏毛は赤褐色,冬毛は灰褐色,または粘土色だが,変化に富み,ほとんど白色のものや黒色のものもある。体長110cm,肩高70cm,体重30kg前後。尾をほとんど欠き,黒い鼻と白い下あごの先の配色のとりあわせが目だつ。

 下生えの豊かな明るい林や草原に接する林縁部に単独あるいは小さな群れですむが,冬には30頭くらいまでの群れをつくる。おもに夜間活動して,草,木の葉のほか,どんぐりやブナの実などを食べる。交尾期は7~8月で,雄はその期間のみふつう特定の雌と配偶関係を結んで共に過ごす。雌は5~6月に1産1~3子,ふつう2子を生む。
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のろ(製錬)

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「のろ」の解説

ノロ

祝女とも。沖縄の女性神役の一つ。地域祭祀の司祭者の最高位の者。ノロとは,「宣る」あるいは「祈る」という言葉に由来するものかとされる。ノロの歴史は3段階にわけて考えられる。第1は琉球国の中央集権制が確立する以前の段階に,各地域の按司(あじ)の姉妹がノロとして祭祀を司祭していた。第2は琉球王国時代で,それまでのノロが聞得大君(きこえおおきみ)を頂点とする神職組織にくみこまれるようになった段階(尚真王時代に確立)。この当時のノロは首里王府から辞令と俸禄をうけ,「公儀ノロ」と称された。第3は明治期以降の王府崩壊後。王府のノロ制度は廃止され,各地のノロの祭祀世界はノロ継承者の不在などによって形骸化していった。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「のろ」の意味・わかりやすい解説

ノロ

祝女とも書く。沖縄本島,奄美群島における公的司祭者としての神女のこと (→ユタ ) 。この地方における神女組織は,琉球王朝の確立とともに整備され,ノロは1集落ないし数集落の祭祀組織を統率した。ノロという語は,祈る,祈る人,神の意思を述べる人などの意で,9世紀頃から存在した。一般にノロは任命制で選ばれ,神衣装,銀の簪 (かんざし) ,扇,ノロ地と呼ばれる土地が与えられるが,各村ではノロの出る家柄は決っていた。ノロの住居はノロ殿内と呼ばれ,守護神として火の神を祀っていた。ノロ制度は明治初年に廃止されたが,神役名称としては今日も残っている。

ノロ
Capreolus capreolus; roe deer

偶蹄目シカ科。体長 95~130cm,体高 65~85cm。角は雄だけに生えるが,短く,普通は3枝。夏毛は赤褐色であるが,冬毛は灰色がかった褐色で,尻に白い大きな斑紋が現れる。ヨーロッパ,中国,朝鮮半島,アムール地方に分布し,低地から高地までの森林に生息する。肉は美味。

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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「のろ」の解説

ノロ
学名:Capreolus capreolus

種名 / ノロ
別名 / ノロジカ
科名 / シカ科
解説 / やや小型のシカで、角も短めです。オスは単独で生活し、メスは小さな群れをつくります。
体長 / 95~150cm/肩高65~100cm
体重 / 15~50kg
食物 / 草や木の葉
分布 / ユーラシア北部の開けた森林、草原

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世界大百科事典(旧版)内ののろの言及

【スラグ】より

…溶融金属製錬における原料中の不純物成分と,目的金属等からのその不純物成分の分離を助けるために加えたフラックス(媒溶剤成分)とからなる液相の総称。のろ,滓(さい)とも呼ばれる。また非鉄製錬の場合は鍰(からみ),とくに粗金属等を製造する過程で発生するものは鉱滓(こうさい)という。…

【道後山】より

…標高1269m。中国山地には,山頂一帯に〈のろ〉と呼ばれる高原状のゆるやかな平たん面を有する山が多いが,長期間の浸食により形成されたこの平たん面は道後山山頂にことに顕著である。多くは放牧場として利用されているが,夏のキャンプ,冬のスキーに訪れる人が多く,比婆山,帝釈(たいしやく)峡とともに一帯は比婆道後帝釈国定公園に含まれる。…

※「のろ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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