ハウスダストの元凶、ダニの駆除法

六訂版 家庭医学大全科 の解説

ハウスダストの元凶、ダニの駆除法
(アレルギー疾患)

 室内塵(しつないじん)ハウスダストといいますが、アレルギー疾患元凶となるのは、そのなかのヒョウヒダニです。ヒョウヒダニは生活環境中に1年を通じて生存していますが、高温多湿を好み、とくに梅雨どきから秋までに増えます。

 日本での喘息(ぜんそく)や通年性アレルギー性鼻炎の最も重要な原因アレルゲンで、喘息の場合、患者さんの約80%でダニに対する特異的免疫グロブリンEIgE抗体の産生がみられます。

 乳幼児期におけるダニ・アレルゲンへの曝露(ばくろ)は喘息発病の危険因子になります。また、ダニを主成分とする室内塵でアレルゲン免疫療法を行うと鼻炎や喘息に有効であることなどから、その臨床的重要性は明らかです。

 ダニは通年性の環境アレルゲンですが、生活環境から減らすことは難しいものです。絨毯(じゅうたん)寝具、布製ソファや座布団などに繁殖するので、絨毯を除去して板の間にすること、家具をビニールや革製のものにすること、なるべく枕はプラスチック製などの丸洗いできるものを使うことなどがすすめられます。

 また、いわゆるダニ・パンチ方式の掃除機を用い、週に1回は、畳1帖のスペースにつき1分以上かけて、ていねいに掃除することが推奨されます。

 特別に高価な掃除機を買う必要はありません。エアコン除湿機を積極的に用いて温度湿度を適度に下げるのもよいとされます。

 寝具は天日干ししたのち、よくたたいて、片面1分程度、掃除機の先に市販カートリッジをつけて吸引することもダニの減少効果があるとされます。

 しかし、喘息でも鼻炎でもアトピー性皮膚炎でも、ダニ・アレルゲン対策だけで症状を管理することは非常に困難です。いわゆる防ダニ寝具についても、高価なばかりでなく、これが喘息や鼻炎を画期的に改善したというような科学的証拠は乏しいのが現状です。

 アレルギー疾患では長期管理向きの維持的薬物療法がかなりよく発達して体系化されており、専門医の指導のもとに状態にみあった最適な薬物の使用方針を決め、薬物を正しく有効利用することがまずすすめられます。

 ダニに対する免疫グロブリンE(IgE)抗体や皮内反応が陽性の場合には、ダニ対策を薬物療法とともに長期管理の一環と考えて、無理なく長続きできる範囲で試みるのがよいでしょう。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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