日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハウチワカエデ」の意味・わかりやすい解説
ハウチワカエデ
はうちわかえで / 羽団扇楓
[学] Acer japonicum Thunb.
カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の落葉小高木または中高木。葉および黄葉が美しく、メイゲツカエデ(名月楓)の名がある。葉は対生し、円形で径7~12センチメートル、掌状に9~11中裂し、縁(へり)に粗い重鋸歯(きょし)がある。葉柄は2~4センチメートル。冬芽の鱗片(りんぺん)は4~5対。雌雄同株。5~6月、散房状円錐(えんすい)花序をつくり、10~15個の花を開く。花冠は紅色で径約1センチメートル、鮮緑色の新葉とともに美しい。花弁、萼片(がくへん)ともに5枚、雄しべは8本。果実は翼が2個あり、秋に熟す。北海道、本州の温帯上部山地に分布し、山腹上部から尾根によくみられる。名は、葉形を天狗(てんぐ)の羽団扇(はうちわ)になぞらえたものである。北海道の庭園によく用いられるが、東京付近でもよく生育する。
[緒方 健 2020年9月17日]