食の医学館 「とうふ」の解説
とうふ
《栄養と働き》
とうふは、十分に水を含んだダイズをすりつぶし、さらに煮てこしてできた豆乳(とうにゅう)ににがりや硫酸(りゅうさん)カルシウムなどの凝固剤を入れ、かためてつくった食品です。
良質のたんぱく質源で、消化がよいのが魅力です。
とうふには、木綿(もめん)どうふと絹ごしどうふ、他に密封した容器につめた充填(じゅうてん)どうふがあります。
木綿どうふは、凝固剤を入れて豆乳をかためたあと、一度これをくずします。このとき、「ゆ」と呼ばれる黄色い上澄み液がでるので、これをすくいだしてから、四角い型箱に流し入れます。
この液体に圧力をかけて「ゆ」を絞りだしてできるのが、木綿どうふです。
絹ごしどうふは型箱に豆乳と凝固剤を入れてそのままかためます。「ゆ」をこさないので、水気が多く、のどごしがよくなるのです。
充填どうふは、豆乳を一度冷やしてから凝固剤といっしょに容器に入れて密封し、そのあとに加熱してかためます。1~2か月間の保存がきくのも、こうした製造工程でつくられるからです。
〈良質のたんぱく質を多く含み、オリゴ糖が腸の働きをととのえる〉
○栄養成分としての働き
必須(ひっす)アミノ酸をバランスよく取り込んだ良質のたんぱく質を含み、脂質はコレステロールを代謝するリノール酸が中心となっています。ほかに、ビタミンB1、E、カルシウム、亜鉛(あえん)、カリウムなど有効成分が豊富です。これらは、動脈硬化、高血圧、心臓病、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)、糖尿病などの予防、老化防止に働きます。植物性たんぱく質なので、肝臓の機能を回復させる作用も期待できます。
糖質は、ダイズオリゴ糖が主成分になっているので、腸の働きをととのえて活性化させ、消化吸収を助けます。
〈栄養価の高い木綿どうふ、ビタミンB1が豊富な絹ごしどうふ〉
ただし、種類によって多少、栄養価が異なります。木綿どうふは豆乳からでる「ゆ」を抜くため、水分が他のとうふにくらべて少なく、重量あたりの栄養価は高くなります。また、カルシウム、鉄、リンなどのミネラルが他のとうふにくらべて豊富です。絹ごしどうふは水溶性のビタミンB1が100g中0.10mg、カリウム150mgと木綿どうふよりも多く含まれています。充填どうふは絹ごしどうふよりもさらにビタミンB1が豊富で、0.15mg含んでいます。
また、ダイズやダイズ加工品は亜鉛を豊富に含んでいます。亜鉛は細胞の新生や分裂に欠かせない酵素の原料となるミネラルです。免疫機能にもかかわっており、感染症を予防したり、味覚を正常に保つ働きがあります。
《調理のポイント》
とうふは水切り時間を長くすると口あたりが悪くなるので、調理する直前まで水につけておくように。また、加熱時間が長いとたんぱく質がかたまるので注意しましょう。
食べる際には、薬味にかつおぶしをかけて食べるのがおすすめ。かつおぶしのビタミンDが働いて、カルシウムの吸収力を高めます。
食欲が減少して夏バテしやすい夏季には、かつおぶしに加え、ミョウガやシソ、ゴマ、ネギなどを薬味にして食べると食欲が増進し、疲労感がやわらぎます。
感染症を予防する働きのある亜鉛を含む特性を活かして、かぜのシーズンには、ビタミンCが豊富なシュンギクなどの青菜と組み合わせた鍋料理がおすすめです。