最新 心理学事典 「バイオフィードバック」の解説
バイオフィードバック
バイオフィードバック
biofeedback
一方,脳の活動をオペラント反応として条件づける手続きが,脳波のバイオフィードバックである。まず,脳波の状態を自ら知覚できるよう視覚や聴覚のフィードバック信号に変換し本人に呈示する。その後の手続きは自律神経活動のバイオフィードバックと同様であり,指示どおりにフィードバック信号が増大することが正の強化となり,その信号を生み出している脳波の特定成分が増大していく。これも主に心身をリラックスさせる心理療法として活用されており,脳波のアルファ波をオペラント反応として用いることで,自らアルファ波の生起頻度を増やし,リラックスした状態を得ることができる。
脳波など脳活動全般のバイオフィードバックを活用したシステムが,ブレイン-マシン・インターフェースbrain-machine interface(BMI)である。BMIは脳と機械を直接つなぎ相互作用させるシステムを指す用語であり,広くは人工内耳や人工視覚などの感覚入力型や,脳深部刺激療法などの直接操作型も含む。しかし,脳の活動でロボットや身辺の機器あるいは自身の筋肉を直接操作することをめざす運動出力型が最も新しいBMIであり,単にBMIと称するとき,そのような運動出力型を指すことが多い。そのようなBMIは,脳の活動が直接働きかけることでなんらかの目的を達成する(すなわち報酬を得る)システムであることから,特定の脳活動をオペラント反応とした条件づけといえる。運動出力型BMIは,脳内に記録電極を埋め込む侵襲式と,脳には直接触れない非侵襲式の二つに分類できる。後者はさらに脳活動の測定方法により,脳波(EEG),機能的磁気共鳴画像(fMRI),近赤外光血流計を用いる方法に分かれる。非侵襲式BMIは,オペラント反応となる特定の脳活動を生起させることが中心となっており,医療現場での応用も試みられている。一方,神経回路網の活動を直接測定する侵襲式BMIは,神経情報を直接検出しようとする神経科学的研究の延長線上にあり,動物を用いた基礎研究が進んでいる。 →オペラント条件づけ →認知神経科学 →脳波 →非侵襲的脳機能研究法
〔櫻井 芳雄〕
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