改訂新版 世界大百科事典 「バジール」の意味・わかりやすい解説
バジール
Frédéric Jean Bazille
生没年:1841-70
フランス印象派の画家。モンペリエの富裕な家庭に生まれ,家族が著名な美術愛好家ブリュイヤスAlfred Bruyasと親交があったので,幼い頃よりドラクロアとクールベの作品に親しんだ。医者を目ざしてパリに出るが,学業半ばにして親の反対を押し切って絵画の道に進む決心をする。グレールGleyreのアトリエで知り合ったモネ,ルノアール,シスレーらと,フォンテンブローの森などで戸外制作を行った。彼は,モネのように光のもとに対象を溶解させることなく,あくまでも材質感にこだわり,クールベらレアリストが追求した迫真性と存在感の表現を引き継いで,明るい戸外の光の中でこれを描こうとした。その才能を嘱望されながら,普仏戦争にみずから従軍し,29歳で世を去った。約60点の油彩を残す。
執筆者:馬渕 明子
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報