改訂新版 世界大百科事典 「バフ仕上げ」の意味・わかりやすい解説
バフ仕上げ (バフしあげ)
buffing
布や皮革などの柔軟性に富んだ材料で作った円板状のバフ車を高速で回転させ,その外周に各種の砥粒(とりゆう)を密着したり,油脂や液体を媒体として一時的に保持させて金属や非金属の表面加工を行う砥粒加工法の一種。研削といしと異なってバフ車はそれ自体の剛性はほとんどないため,寸法や形状精度を出すことはできず,表面の平滑化や鏡面化など,主として外観の向上を目的としている。砥粒切れ刃による切削作用のほか,加工物表面の塑性流動も加工機構上重要な役割を演じていると考えられている。バフ研磨剤は油脂によって固められて常温で固形を呈しているものと,水や油に混合されて液状を呈しているものとに分けられる。前者においては,これを回転するバフ車に押しつけ,摩擦熱によって必要量を溶融させる。液状バフ研磨剤は,供給量の調整が容易である,固形バフ研磨剤との摩擦によるバフ車の摩耗がないなど,いくつかの利点を有している。
執筆者:稲崎 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報