超仕上げ (ちょうしあげ)
superfinishing
砥石(といし)を用いる精密加工法の一種。粒径の小さな砥粒で作られた角状の砥石を,比較的低い圧力で加工物に押しつけ,振幅1~5mm,振動数10~40Hz程度の相対振動を与えながら加工に必要な相対運動を行わせる。表面粗さが小さく,かつ加工変質層の厚みも小さい良好な加工面が得られるうえ,相対振動の存在によって加工能率もかなり高いという特徴を有する。0.1μm程度の表面粗さを得ることもできる反面,波長の大きな表面のうねりを除去することは困難である。加工中には,脱落砥粒や切りくずの除去および潤滑を目的として加工液が注がれる。鋼,鋳鉄などの軟質材はもとより,超硬合金,フェライト,セラミックスなどの硬質材料の加工も可能であり,各種精密部品の円筒外(内)面,平面などの仕上加工に利用されている。
執筆者:稲崎 一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
超仕上げ
ちょうしあげ
superfinishing
機械的な表面仕上げ法の一つ。研摩用砥石(といし)あるいは砥粒による研摩法には、一方向にだけ動くラッピングlapping、回転運動が加わるホーニングhoning、それに加工品の運動と同時に砥石に細かい振動を与える超仕上げがある。仕上げ面は後のほうのものほどよくなる。超仕上げに使う砥石は工作物の材質によって異なるべきであるが、400番ないし1000番のWAまたはGC系統のものでビトリファイト砥石が使われる。通常のラップ工作に比べて6~20倍も短時間で仕上げられるが、仕上げ面は現在知られているもっとも平滑度の高いもので、ゲージブロック面の程度によい。
[志村宗昭]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
超仕上げ
ちょうしあげ
superfinishing
工作物の表面に,面と平行に振動する砥石を軽く押当てて鏡面状態に仕上げる加工法で,一種の商業的名称。結合度の弱い細粒の棒状砥石を用い,振幅1~5mm,振動数 6.5~45Hz,押しつけ圧力 0.2~2 kgf/cm2 程度の条件で作業する。切削液にはスピンドル油その他の石油系潤滑油が使用される。仕上げ面が美麗で,ほとんど方向性がなく,また,加工による変質層が薄く,内燃機関のクランク軸,ころがり軸受のころやレースなどに利用されている。専用の超仕上げヘッド (旋盤などに装備する) によって作業する。 (→ホーニング )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内の超仕上げの言及
【機械加工】より
… 研削加工は,といしを用いて加工物を削り,所要の精度および形状を与える加工法で,表面を高い精度で仕上げたいときや,焼入れした面の仕上げなどに用いられる。高速で回転するといしを用い,これに機械的にある一定の切込みを与えて行われるほか,といしに圧力を加えて研削を行う方法として[ホーニング]や[超仕上げ]があり,また砥粒のついたベルトにより加工するベルト研削加工もある。 遊離砥粒を用いて行う加工には,工具と加工物との間に砥粒あるいは砥粒と油などを混合したものを入れて,加工物を押し付けながら相対運動を行わせ,砥粒によりきわめて微小の切りくずを削りつつ加工を行う[ラッピング],砥粒を周囲に接着したホイール状の工具を高速回転させ,これに工作物を押し付けて加工する[バフ仕上げ],バレルと称する容器内に砥材と工作物と工作液を入れて,回転または振動させて表面の仕上げを行うバレル加工などがある。…
※「超仕上げ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」